↓
 

季語と歳時記

きごさい歳時記

月別アーカイブ: 2月 2011

投稿ナビゲーション

← 古い投稿
新しい投稿 →

黴(かび) 仲夏

季語と歳時記

【子季語】
青黴、毛黴、黒黴、白黴、黴の香、黴の宿、黴煙、黴の花、黴拭ふ、黴る
【解説】
梅雨時の高温多湿に乗じて発生する菌の一種。食べもの、衣類、畳、壁など、何にでも発生する。鬱陶しい長雨の季節を象徴するものであるが、味噌醤油の製造に欠かせない麹黴やペニシリンを作る黴など、有益なものもある。
【科学的見解】
カビ類とは、アオカビ、コウジカビ、ケカビなどのように、「かびる」現象を起こす微生物をさす。大部分のカビ類は、細胞が細長く縦につながって糸のような形をしており、これを菌糸という。生殖は、胞子を形成して無性的に繁殖するものと、両親となる二つの菌糸が融合し接合胞子を形成する有性生殖とがある。(藤吉正明記)
【例句】
新しき帽子かけたり黴の宿
高浜虚子「五百句」

黴の宿頭上に橋の音すなり
久米三汀「返り花」

徐(おもむろ)に黴がはびこるけはひあり
松本たかし「火明」

黴の中言葉となればもう古し
加藤楸邨「山脈」

きりもなく黴の湧きくる机かな
長谷川櫂「天球」

カテゴリー: 1基本季語, g植物

萍(うきくさ)三夏

季語と歳時記

ukikusa【子季語】
萍の花、浮草、鏡草、根無草、青萍
【関連季語】
萍生ひ初む、
【解説】
沼や池の水面に浮いて殖えるの緑色の草。繁殖力が旺盛で、水田などでは稻に害をなす。
【来歴】
『毛吹草』(正保2年、1645年)に所出。
【科学的見解】
萍(ウキクサ)は、ウキクサ科の一年生草本植物であり、近縁種として三属七種程度が存在する。水田や沼、池なども水面に群生して浮かぶ。日本全域に自生し、熱帯から温帯にかけて世界中に分布する。茎と葉の区別がなく、扁平な卵形の葉状体で長さ五ミリから八ミリくらい。裏は紫色を帯び、その中央から十本ほどの根がぶら下がる。その根の着点から、幼植物が分かれて繁殖する。八月から九月にかけて、小さくて目立たない袋状の包がまれに生じ、包の中には一個の雌花と二個の雄花からなる花序ができる。水底に沈んで越冬する。(藤吉正明記)
【例句】
流れ流れて萍花のさかりかな
来山「すがた哉」

萍を岸につなぐや蜘の糸
千代女「千代尼発句集」

浮草を払へば涼し水の月
几董「井華集」

うき草を吹あつめてや花むしろ
蕪村「蕪村句集」

萍の花より低き通りかな 
一茶「享和句帖」

古池や花萍のひるさびし
内藤鳴雪「改造文学全集」

萍に亀乗りかけてやめにけり
松本たかし「松本たかし句集」

カテゴリー: 1基本季語, g植物

苔の花(こけのはな) 仲夏

季語と歳時記

【子季語】
花苔
【関連季語】
苔茂る
【解説】
梅雨のころ、苔に咲く白や紫、赤などのごく小さな花のごときもの。
【来歴】
『俳諧大成新式』(元禄11年、1698年)に所出。
【科学的見解】
苔の花といっても正確には花ではない。苔は原始的な植物で苔類、蘚類、ツノゴケ類、地衣類などに分類されるものの総称である。「苔の花」というのはこれらの苔類から立ち上がる生殖器官のこと。苔類では雌器床、雄器床がそれであり、蘚類は地衣類は胞子嚢がそれである。(藤吉正明記)
【例句】
今の夜の竹を育てつ苔の花
才磨「墨吉物語」

岩角や火縄すり消す苔の花  
太祇「太祇句集後編」

踟幮する沓に音なし苔の花
蕪村「夜半叟句集」

絶々に温泉の古道や苔の花
蓼太「蓼太句集初編」

水かけて明るくしたり苔の花
乙二「をのゝえ草稿」

松かさのころびかかるや苔の花
羅川「ひこ鯛」

苔咲くや親にわかれて二十年
鬼城「鬼城句集」

カテゴリー: 1基本季語, g植物

虎耳草(ゆきのした) 仲夏

季語と歳時記

【子季語】
雪の下、鴨足草、虎の耳、畸人草
【解説】
梅雨どきに滴りを浴びる岩かげなどで、リボンを結んだような白い小さな花が群がって咲く。冬、葉が雪の下で枯ずにあることからこの名がある。「鴨足草」は、五弁の花の形が鴨の足に似ていることによる。「虎耳草」は花の形が虎の耳を連想させるという漢名。
【来歴】
『毛吹草』(正保2年、1645年)に所出。
【科学的見解】
虎耳草(ユキノシタ)は、ユキノシタ科ユキノシタ属の多年草。日本在来の植物であり、本州から九州にかけて湿った岩の上などに自生するほか、薬用に栽培される。葉は円形に近く暗緑色で白い斑を持ち、裏は赤みを帯びる。株元から糸状の走出枝を多数出し、その先端部に新苗を生じて繁殖する。開花期は五月から六月。二十センチから四十センチくらいの花茎を伸ばし、先端に白い五弁の花をつける。三弁は小さく淡紅色の斑を持つ。二弁は大きく垂れ下がる。腫れ物などに効用があるほか、若葉は食用になる。(藤吉正明記)
【例句】
雪の下名のらで寒し花の色 
越人「鵠尾冠」

日さかりの花や涼しき雪の下
呑舟「有磯海」

六月をしづめてさくや雪の下
東以「芭蕉庵小文庫」

カテゴリー: 1基本季語, g植物

真菰(まこも)三夏

季語と歳時記

【子季語】
菰、花且見、勝見草、真菰草
【関連季語】
真菰の花
【解説】
夏、水辺に青々と生い茂る。蘆のように丈が高い。蘆に似ているが、蘆よりも水深の深いところに生える。その葉で菰筵を作ったので、真菰という名がある。
【来歴】
『俳諧御傘』(慶安4年、1651年)に所出。
【文学での言及】
真菰刈る淀の沢氷雨降れば常よりことに増さるわが恋 紀貫之『後撰集』
真菰刈る淀の沢氷深けれど底まで月の影は澄みけり 前中納言匡房『新古今集』
【科学的見解】
真菰(マコモ)は、イネ科マコモ属の多年草で、在来植物として日本各地の水辺に自生する。高さは二メートルにもなり、葉の長さは五十センチから一メートルくらい。地下茎が水底を這って群落をつくる。蘆と同じような条件で群生するが、足よりも水深の深いところで生える。雌雄同株。花序は茎の先端に円錐状につく。花序の上部には雌花の小穂がつく。地下茎は「菰角(コモヅノ)」といって甘味があり、白鳥や菱食などに食べられる。また、植物体内に菌類が寄生し茎が肥大化したものを「真菰茸」と呼び、昔から食用にされてきた。さらに、その肥大化した部分は、成熟すると菌類の黒い胞子が生産され、それを「真菰墨」としてお歯黒や鎌倉彫などの漆器の塗料として利用されてきた。(藤吉正明記)
【例句】
水深く利鎌ならす真菰刈
蕪村「蕪村句集」

カテゴリー: 1基本季語, g植物

昼顔(ひるがお、ひるかほ) 仲夏

季語と歳時記

【関連季語】
夕顔、朝顔、夜顔、浜昼顔
【解説】
夏の昼間、淡紅色のラッパ状の花を咲かせる。山地や都会の空き地などどこにでも見られる。日盛りに花を咲かせるところから、朝顔に対してこの名がある。万葉集のなかのカオバナはヒルガオといわれる。
【来歴】
『毛吹草』(正保2年、1645年)に所出。
【文学での言及】
真昼野に昼顔咲けりまじまじと待つものもなき昼顔の花 木下利玄『銀』
遠方のものの声よりおぼつかなみどりの中のひるがほの花 与謝野晶子 『春泥集』
【科学的見解】
昼顔は、ヒルガオ科ヒルガオ属の蔓性の多年草であり、在来種としてヒルガオとコヒルガオが存在する。両種は、日本各地の山野、道ばた、空き地などに自生する。結実することはめったになく、地下茎を地中深く伸ばして増える。葉は長楕円形で五センチから十センチくらいで茎に互生する。六月から八月にかけて葉腋から花柄を伸ばし、漏斗状の淡紅色の花を一つつける。その他に、海岸や湖岸の砂地に生える、ハマヒルガオも存在する。(藤吉正明記)
【例句】
昼顔に米つき涼むあはれ也
芭蕉「泊船集」

子ども等よ昼顔咲きぬ瓜むかん
芭蕉「藤の実」

ひるがほに昼寝せうもの床の山
芭蕉「韻塞」

ひるがほの短夜ねぶる昼間哉 
芭蕉「ながらのさくら」

昼顔やしめりなき野のきれ草鞋
太祇「太祇句選」

とうふ屋が来る昼顔が咲にけり
一茶「七番日記」

ひるがほを踏みて眺めぬ塩屋崎
前田普羅「新訂普羅句集」

昼顔やますぐな道のさびしさに
松本たかし「石魂」

昼顔のほとりによべの渚あり
石田波郷「鶴の眼」

カテゴリー: 1基本季語, g植物

青蘆(あおあし、あをあし)三夏

季語と歳時記

【子季語】
青葦、蘆茂る、青蘆原
【関連季語】
蘆の角、蘆の花、蘆刈、蘆火、枯蘆
【解説】
青々と茂る蘆のこと。古事記によれば日本は「豊蘆原の瑞穂の国」であり、古代から豊かに蘆が生い茂り、稲穂がみずみずしく実っていたとされる。「あし」が「悪し」に通じるので、これを避けて「よし」とも呼ぶ。
【来歴】
『俳諧通俗誌』(享保2年、1716年)に所出。
【科学的見解】
蘆は、イネ科のヨシ属の多年草。標準和名はヨシと呼ばれ、日本各地の河川や沼地に自生し、二メートルほどの高さになる。地下茎が水底の泥を這い群落をつくる。芒に似た葉は、二列に互生する。八月から十月にかけて円錐花序だし、小穂を持った暗紫色の花を咲かせる。蘆の茎は刈り取ってすだれや屋根の材料にする。(藤吉正明記)
【例句】
片意地に蘆の片葉や法花村
一茶「九番日記」

棲めば吾が青蘆原の女王にて
竹下しづの女「はやて」

カテゴリー: 1基本季語, g植物

草いきれ(くさいきれ) 晩夏

季語と歳時記

【子季語】
草のいきれ、草いきり、草の息
【関連季語】
夏草
【解説】
夏草のむっとする匂いのこと。「いきれ」とは、蒸れてほてること。
【来歴】
『季寄新題集』(嘉永元年、1848年)に所出。
【例句】
草いきれ人死にゐると札の立つ 
蕪村「蕪村句集」

身もあらず鶏の砂あぶ草いきれ
富田木歩「定本木歩句集」

草いきれ鉄材錆びて積まれけり 
杉田久女「杉田久女句集」

カテゴリー: 1基本季語, g植物

夏草(なつくさ)三夏

季語と歳時記

【子季語】
夏の草、青草
【関連季語】
草いきれ
【解説】
夏に生い茂る草のこと。抜いても抜いても生えてくる雑草や、山野をおおう青芒、萱のたぐい。炎天下、強い匂いを放ち、雨が降らなくても枯れることもない。生命力ある草々である。
【来歴】
『改正月令博物筌』(文化5年、1808年)に所出。
【文学での言及】
夏草のあひねの浜の牡蠣貝に足踏ますなあかして通れ 軽大郎女『記歌謡』
このころの恋のしげけく夏草の刈りはらへども生ひしく如し 作者不詳『万葉集』
【例句】
夏草や兵共がゆめの跡
芭蕉「奥の細道」

石の香や夏草赤く露暑し
芭蕉「曾良旅日記」

夏草に富貴を飾れ蛇の衣
芭蕉「酒堂宛書簡」

夏草や所々にはなれ駒
闌更「闌更 半化坊発句集」   

夏草に身をほめかれて旅の空  
鬼貫「鬼貫句選」

夏草に松の木やせる岡辺かな 
曽良「続別座敷」

夏草に狩り入る犬の見えぬなり 
召波「春泥発句集」

夏草や立ちよる水は金気水
一茶「御桜」

夏草や野武士が持てる馬の数  
大魯「蘆陰句選」

朱ケの月出て夏草の鋭さよ 
川端茅舎「川端茅舎句集」

カテゴリー: 1基本季語, g植物

帚木(ははきぎ) 晩夏

季語と歳時記

【子季語】
地膚木、箒草、庭草、真木草、地膚
【解説】
箒の材料となる草。生えている状態も、箒に似てこんもりとしている。晩夏、黄緑色の小花をつける。その実は「とんぶり」と呼ばれ食用になる。
【来歴】
『俳諧大成新式』(元禄11年、1698年)に所出。
【文学での言及】
「帚木の心を知らで園原の道にあやなく惑ひぬるかな『源氏物語』帚木巻
【実証的見解】
帚木はアカザ科ホウキギ属の一年草。原産地は中国。高さは一メートルくらいで、根本から多数枝分かれし、披針形の柔らかい葉で覆われる。夏、黄緑色の小花を穂状につけ、秋に食用になる実をつける。葉は、秋に赤く色づく。
【例句】
箒木の四五本同じ形かな
正岡子規「俳句稿」

箒木や一ツたちたる雲の峰
松瀬青々「妻木」

カテゴリー: 1基本季語, g植物

投稿ナビゲーション

← 古い投稿
新しい投稿 →
ことば検索


ヒット項目が多くなりすぎる季語です。下の文字を直接、クリックしてください。

春、梅、桜、花、夏、祭、秋、月、冬、雪、初春

 きごさいBASEへ


季節文化を発信

NPO法人「きごさい」(季語と歳時記の会)は、ネット歳時記「きごさい」を中心に季節文化を発信する仕事をしています。その活動はボランティアのみなさんの力で運営されています。賛同される方はご参加ください。

きごさいの仕事

  • インターネット歳時記「きごさい歳時記」
  • 山桜100万本植樹計画
  • 「きごさい」の発行
  • きごさい全国小中学生俳句大会
    • これまでの受賞句

メニュー

  • top
  • デジタル句集
  • お問合せ
  • 管理

リンク

  • きごさいBASE
  • カフェきごさい
©2026 - 季語と歳時記
↑