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季語と歳時記

きごさい歳時記

月別アーカイブ: 2月 2011

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秋の暮(あきのくれ)三秋

季語と歳時記

【子季語】
秋の夕暮、秋の夕
【関連季語】
暮の秋
【解説】
秋の一日の夕暮れという意味と、秋という季節の終わりという意味がある。古来より二つの意味で使われてきたが、二つの意味が相互に響きあう場合も少なくない。<さびしさはその色としもなかりけり真木立つ山の秋の夕暮> 寂蓮『新古今集』、<心なき身にもあはれは知られけり鴫立つ沢の秋の夕暮>西行『新古今集』<見渡せば花も紅葉もなかりけり浦の苫屋の秋の夕暮>藤原定家『新古今集』などと古くから歌われ、「もののあはれ」「寂しさ」象徴する季語となった。
【来歴】
『山の井』(正保5年、1648年)に所出。
【文学での言及】
秋は、夕暮。夕日のさして、山の端いと近うなりたるに、烏の、寝どころへ行くとて、三つ四つ、二つ三つなど、飛び急ぐさへ、あはれなり。まいて、雁などの列ねたるが、いと小さく見ゆるは、いとをかし。日入り果てて、風の音、虫の音など、はたいふべきにあらず。 清少納言『枕草子』
【例句】
死にもせぬ旅寝の果よ秋の暮
芭蕉「野ざらし紀行」

此道や行人なしに秋の暮
芭蕉「其便」

門を出れば我も行人秋のくれ
蕪村「蕪村句集」

戸口より人影さしぬ秋の暮
青蘿「青蘿発句集」

日のくれと子供が言ひて秋の暮
高浜虚子 「六百句」

苔寺を出てその辺の秋の暮
高浜虚子 「七百五十句」

家にゐて旅のごとしや秋の暮
長谷川櫂「虚空」

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秋彼岸(あきひがん) 仲秋

季語と歳時記

akihigan【子季語】
後の彼岸、秋彼岸会
【関連季語】
彼岸、彼岸会、秋分
【解説】
秋分の日(九月二十三日ごろ)を中日とし、前後三日を含めた七日間を指す。お墓参りをし、おはぎを作ってご先祖に供える。彼岸は春と秋の二回あり、秋の彼岸は後の彼岸ともいう。ただ彼岸という場合は春の彼岸を指す。
【来歴】
『世話盡』(明暦2年、1656年)に所出。
【実証的見解】
彼岸は、亡き先祖に感謝し、その霊をなぐさめ、自分も身をつつしみ極楽往生を願う日本特有の仏教行事である。『源氏物語』にその記述があり、平安時代にはすでに行われていたとされる。太陽信仰と深いかかわりがあり、真東から上がって真西に沈む太陽を拝んで、阿弥陀如来が治める極楽浄土に思いをはせたのが起源とされる。「日の願(ひのがん)」から「彼岸」となったという説もある。彼岸は春彼岸と秋彼岸とがあり、春彼岸は種まきの季節で、その年の豊穣を祈る気持ちがつよく、秋彼岸は収穫に感謝する気持ちがつい。
【例句】
風もなき秋の彼岸の綿帽子 
鬼貫「七車」

きらきらと秋の彼岸の椿かな
木導「韻塞」

傘(からかさ)をかたげて秋の彼岸かな
青流「住吉物語」

火の中に栄螺ならべて秋彼岸
長谷川櫂「果実」

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八朔(はっさく) 仲秋

季語と歳時記

【関連季語】
八朔の祝
【解説】
八朔は八月朔日(一日)、旧暦八月一日のこと。稻の豊作を祝い、かつ祈る日でもある。現在の暦では八月、九月中に巡ってくる。
【来歴】
『山の井』(正保5年、1648年)に所出。
【実証的見解】
八朔は、二百十日、二百二十日と並ぶ悪天候の厄日とされるが、「田の実の節供」または「頼みの節供」ともいい、収穫したばかりの早稲の稲穂を世話になった人に贈って豊作を祈願する日でもあった。また、徳川家康が始めて江戸城に入った日とされ、諸大名や直参旗本たちはこの日は、白装束で江戸城に登城し将軍に祝詞を述べた。のちに吉原でも、この日、遊女たちが白無垢の装束に身を包んで花魁道中を行うようになった。武士や町人の間でも「八朔の祝い」といって、贈答が行われた。
【例句】
八朔やひねもす雲風寒き
个字「草上」

八朔や旅は寝がちの物忘れ
暁台「暁台句集」

八朔や在所は鯖の刻み物
野坡「野坡吟艸」

八朔や扨明日よりは二日月 
蕪村「句集巻之下」

八朔や旭のいろをたたへ潮
白雄「白雄句集」

八朔や朝日静かに稲の波  
子規「子規全集」

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二百十日(にひゃくとおか、にひやくとをか) 仲秋

季語と歳時記

【子季語】
厄日、二百二十日
【解説】
立春から数えて二百十日目をいう。新暦九月一日ころにあたる。台風シーズンの到来。稲の収穫期も近く警戒を要する。二百二十日とともに稲作農家にとっては厄日となる。
【来歴】
『俳諧通俗誌』(享保2年、1716年)に所出。
【実証的見解】
二百十日は、なぜ二十四節気の一つ「立春」から数えるのか。二十四節気は太陽暦に基づいて一年を二十四に分けたもので、旧暦と違って季節のずれがなく、農作業の目安となる。新暦の二月四日ころにあたる立春は、ちょうど旧暦の正月のころと重なる。正月も年のはじめなら、「立春」もまた年のはじめ。立春を年のはじめと定めることで、「八十八夜」「二百十日」というような季節点をおき、農事の目安や自然災害に対する備えとしたのである。
【例句】
二百十日も尋常の夕べかな
蕪村「夜半叟句集」

市に隠る二百十日は昨日なり
几董「井華集」

菜大根二百十日の残りかな
李由「韻塞」

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新涼(しんりょう、しんりやう) 初秋

季語と歳時記

【子季語】
新たに涼し、初めて涼し、秋涼し、秋涼、涼新た、初涼、早涼
【解説】
秋に入ってから感じる涼しさのこと。「涼し」だけでは、夏の季語となる。夏の暑さの中で感じられる涼しさではなく、「涼しく過ごしやすい季節」になってきたことをいう。
【来歴】
『俳諧御傘』(慶安4年、1651年)に所出。
【文学での言及】
秋来ぬと思ひもあへぬ朝けよりはじめて涼しせみのはごろも 花園院『新拾遺集』
【例句】
秋涼し手毎にむけや瓜茄子
芭蕉「奥の細道」

秋涼し蘭をもつれの解るほど
野坡「野坡吟艸」

新涼や寺町かけて人通り
松瀬青々「妻木」

新涼や豆腐驚く唐辛子
前田普羅「普羅句集」

新涼やおきてすぐ書く文一つ
星野立子「春雷」

新涼やはらりと取れし本の帯
長谷川櫂「虚空」

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残暑(ざんしょ) 初秋

季語と歳時記

【子季語】
残る暑さ、秋暑し、秋暑、餞暑
【解説】
立秋を過ぎた後の暑さ。例年、八月いっぱいくらいは暑い日がつづく。いったん涼しくなった後で、暑さがぶり返すこともある。
【来歴】
『毛吹草』(正保2年、1645年)に所出。
【文学での言及】
ひとへなる蝉のは衣秋くれば今いくへをかかさねても見ん 源顕仲『永久四百年首』
穐きては風ひやかなる暮もあるにあつれしめらひむづかしのよや 源俊頼『永久四百年首』
うちよする浪より秋はたつた川さても忘れぬ柳影かな 後京極摂政『六百番歌合』
秋来てもなほ夕風を松が根に夏を忘れしかげぞたちうき 藤原定家『風雅集』
【例句】
牛部屋に蚊の声闇き残暑かな
芭蕉「三冊子」

かまきりの虚空をにらむ残暑かな 
北枝「艶賀の松」

伶人のやどりにのこる暑さかな 
蕪村「夜半叟句集」

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立秋(りっしゅう、りつしう) 初秋

季語と歳時記

【子季語】
秋立つ、秋来る、秋に入る、今朝の秋、今日の秋
【解説】
二十四節気の一つ。文字どおり、秋立つ日であり、四季の節目となる「四立」(立春、立夏、立秋、立冬)の一つ。この日から立冬の前日までが秋である。新暦の八月七日ころにあたる。実際には一年で一番暑いころであるが、朝夕の風音にふと秋の気配を感じるころでもある。
【文学での言及】
秋きぬと目にはさやかに見えねども風の音にぞ驚かれぬる 藤原敏行『古今集』
【実証的見解】
二十四節気の一つで、新暦では八月八日ころにあたる。この日から立冬の前日までが秋になる。立秋は、一日だけではなく、処暑の前日までの約十五日間をさす。立秋の始まる日は「節入りの日」と呼ばれる。
【例句】
はりぬきの猫もしる也今朝の秋
芭蕉「書留」

秋たつやはじかみ漬もすみきつて
来山「今宮草」

そよりともせいで秋たつ事かいの
鬼貫「七草」

弓張りのちらりと見えて秋立ちぬ
許六「正風彦根田躰」

秋たつや白湯香ばしき施薬院
蕪村「蕪村句集」

秋たつや何におどろく陰陽師
蕪村「蕪村句集」

秋たつや宵の蚊やりの露じめり
几董「井華集」

初秋の大きな富士に対しけり
星野立子「句日記Ⅱ」

けさ秋の伊豆のみえたる机かな
長谷川櫂「蓬莱」

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秋(あき)三秋

季語と歳時記

【子季語】
白秋、白帝、素秋、商秋、金秋、凜秋、爽節、収成、三秋、九秋
【解説】
万物が暑い夏を乗り越えて冬へ向かう途中の爽快な季節。ただ、快適とばかりではなく、残暑厳しい八月も、肌寒さを覚える十月も秋である。空気も水も澄み渡り、山々は紅葉する。収穫の秋であり、月をめでる秋である。白帝は中国の五天帝の一人で秋を司る神である。
【来歴】
『増山の井』(寛文7年、1667年)に所出。
【文学での言及】
秋は、夕暮。夕日のさして、山の端いと近うなりたるに、烏の、寝どころへ行くとて、三つ四つ、二つ三つなど、飛び急ぐさへ、あはれなり。まいて、雁などの列ねたるが、いと小さく見ゆるは、いとをかし。日入り果てて、風の音、虫の音など、はたいふべきにあらず。 清少納言『枕草子』
【実証的見解】
立秋から立冬の前日まで。現在の暦では八月八日頃から十一月八日頃。五穀や果実が実りやがて木々は葉を落とし草花は枯れ、冬へと向かう。陰暦では初秋、仲秋、晩秋の三秋をまとめて九秋と呼ぶ。五行説で秋の色は「青春、朱夏、白秋、玄冬」のうち「白秋」の白とされる。
【例句】
寂しさや須磨に勝ちたる浜の秋
芭蕉「奥の細道」

此の秋は何で年よる雲に鳥 
芭蕉「笈日記」

おくられつおくりつはては木曽の秋
芭蕉「曠野」

夜あるきにから櫓の音や浦の秋 
去来「続有磯海」

卒爾なる雲も出でけり秋の旅
路通「浪化上人日記」

田の肥に藻や刈り寄する磯の秋
惟然「藤の実」

定宿の持仏拝むや秋の旅
蕪村「落日庵句集」

夕暮や都の人も秋の顔
千代女「真蹟」

病間あり秋の小庭の記を作る
正岡子規「子規句集」

秋の航一大紺円盤の中
中村草田男「長子」

掃かれたる地にきはやかや秋の人
中村草田男「長子」

友もやゝ表札古りて秋に棲む
中村草田男「火の島」

真直(ます)ぐ往けと白痴が指しぬ秋の道
中村草田男「美田」

槇の空秋押し移りゐたりけり
石田波郷「風切」

みづうみに鰲(がう)を釣るゆめ秋昼寝
森澄雄「鯉素」

艪の音のしづかな秋となりにけり
長谷川櫂「蓬莱」

カテゴリー: 1基本季語, a時候

葎(むぐら)三夏

季語と歳時記

mugura【子季語】
八重葎、小児教草、葎生、葎の宿、葎の門、もぐら
【関連季語】
金葎、葎茂る
【解説】
夏、盛んに茂る雑草のこと。人も訪れることのない荒れ果てた庭で、ぼうぼうと繁っているさまをいう。ヤエムグラという植物があるが、これのみをさすのではない。
【来歴】
『俳諧御傘』(慶安4年、1651年)に所出。
【文学での言及】
故里はむぐらの軒もうらがれて夜る夜る晴るゝ月の影かな 式子内親王
月影を葎の門にさし添へて秋こそ来れとふ人はなし 藤原定家『風雅集』
【科学的見解】
八重葎(ヤエムグラ)は、アカネ科ヤエムグラ属の在来蔓性越年草。日本全土の野原や空き地に自生する。茎は四角く、逆向きの小さい刺を持つ。細長い葉を八枚、輪生につける。夏、葉腋に黄緑色の四弁の小花をつける。その他の種としては、カナムグラ、ヨツバムグラ、クルマムグラなどが存在する。これらの種の茎や葉は、逆向きの刺により衣服に張り付くことから、草花遊びとしても利用されている。(藤吉正明記)
【例句】
山賤のおとがひ閉づる葎かな 
芭蕉「続虚栗」

夕顔のあとからのぼるむぐらかな
凡兆「荒小田」

古寺や葎の下の狐穴
闌更「半化坊発句集」

カテゴリー: 1基本季語, g植物

撫子(なでしこ) 初秋

季語と歳時記

【子季語】
大和撫子、川原撫子、常夏
【関連季語】
石竹
【解説】
秋の七草の一つ。薄紅色または白で、花の縁にぎざぎざがある。中国原産の石竹をカラナデシコというのに対し、日本に自生するのはヤマトナデシコとして、古くから日本人に親しまれてきた。和名は「撫でし子」からきてをり、女性やこどもを象徴する花でもある。
【来歴】
『花火草』(寛永13年、1636年)に所出。
【文学での言及】
萩の花尾花葛花瞿麦(なでしこ)の花をみなへしまた藤袴朝顔の花 山上億良『万葉集』
野辺見れば撫子の花咲きにけり我が待つ秋は近づくらしも 作者不詳『万葉集』
我のみやあはれとおもはんきりぎりすなく夕かげの山となでしこ 素性法師『古今集』
庭の面も苔ちの上のからにしきしとねにしけるとこなつの花 藤原俊家『夫木和歌抄』
なでしこの花はあだなるたねなればいさしら川ののべにちりにき 小野小町『夫木和歌抄』
【科学的見解】
日本には、在来植物として数種類の撫子類が存在するが、一般的な撫子は、河原撫子(カワラナデシコ)である。カワラナデシコは、ナデシコ科ナデシコ属の多年草。日本の原野に広く自生する。高さ五十センチから八十センチくらい。直立するが、根本は分枝する。葉は広線形で対生する。花は七月から八月にかけて咲き、花弁は五個で淡紅色、縁は細く裂ける。オミナエシ同様、生育環境としての良好な草地が減少していることから、野生の個体数は減っている。しかし、園芸店には種子や苗が販売されているため、公園や庭先などで見ることができる。(藤吉正明記)
【例句】
酔うて寝むなでしこ咲ける石の上 
芭蕉「栞集」

なでし子にかゝる涙や楠の露
芭蕉「芭蕉庵小文庫」

かるがると荷も撫子の大井川
惟然「けふの昔」

かさねとは八重撫子の名なるべし
曾良「奥の細道」

常夏やあちら隣は相撲とり 
吟水「犬古今」

撫子の節々にさす夕日かな 
成美「はらはら傘」

撫子を斧もて削るごとくせよ
長谷川櫂「初雁」

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