↓
 

きごさいBASE

NPO法人季語と歳時記の会のホームページ

投稿ナビゲーション

← 古い投稿
新しい投稿 →

7月 きごさい+報告 「硯がひらく世界」 

きごさいBASE 投稿日:2024年7月14日 作成者: dvx223272025年9月24日

7月6日、第35回きごさい+がズームで開催されました。

「硯がひらく世界」       甲斐雨端硯本舗13代目硯匠 雨宮弥太郎

〇雨畑硯の歴史
雨畑硯は山梨県南部早川町雨畑にて産出される石で当家初代雨宮孫右衛門が元禄3年(1690年)身延山参詣の途上黒一色の流石を広い作硯した事に始まると伝えられています。(日蓮上人高弟開祖の伝承もあり。)雨畑は山深い所であるため当時富士川舟運で栄えた鰍沢に多くの職人が集まり硯づくりが盛んになりました。そして、天明4年四代要蔵が将軍家に硯を献上するなどして雨畑硯の名が全国に高まることとなりました。
(※雨畑硯は地場産業としての一般的な表記であり「雨端硯」は八代鈍斎が中村敬宇氏よりいただいた雨宮弥兵衛家の登録商標表記です。)

〇硯造形の流れ
日本は工芸王国です。しかし石の工芸はあまり注目されてきませんでした。硯の歴史を調べてみても 多くは硯箱の意匠の変遷に重きが置かれ硯についてはほとんど触れられていません。硯の意匠について 当家に残る八代鈍斎、十代英斎の作品などをみても中国硯の強い影響が見られます。日本独自の硯の意匠は十一代静軒から始まると言えるかもしれません。 静軒は文房四宝に造詣の深い犬飼木堂翁に教えをいただき東京美術学校で彫刻を また竹内栖鳳より図案を学び 自然の風物を硯に取り入れ芸術としての硯を確立しました。 その〝間〟を重視した造形は 柔らかい硯石の質感を十二分に生かした和様の意匠です。続く十二代弥兵衛・誠の作品は抽象表現主義の影響を受けた斬新なシンプルな造形となり 硯作品にも時代の美意識の変遷を見て取る事ができます。 続く私の作品ですが父の無駄なものを極力省いたシンプルな造形をベースに〝何でもない形でありながら品格の宿るかたち〟を目指して独自のスタイルを模索しているところです。

〇硯の用途とは
硯は墨をするための道具です。 しかし本当にそれだけのものでしょうか。 焼き物で作られていた古代の硯にはどう見ても実用第一に作られたものにはみえない〝円面硯〟〝多足硯〟〝動物硯〟などが見られます。 字を書くという事が特別であった時代の〝権力〟〝祈り〟への想いがあるように感じられます。 また中国に見られる文房飾り。実用以上に文人の理想の境地の表現です。ここでは硯は一番の主役でした。 知的に自分を高めるための存在だったのではないでしょうか。
私は 硯は〝墨を磨るうちに心を鎮め 自分の内面と向き合うための道具〟と捉えています。いわば〝精神の器〟として現代の造形としての可能性を感じています。
では、硯が硯として成立するためにはどんな条件が必要でしょうか。私は良石に平らな面さえあれば充分だと考えています。 そして そこさえ押さえておけば かなり自由度の高い造形が可能です。 さらに墨が溢れにくいように縁が生じ 磨った墨をためる窪みの出現など 現在のスタンダードな硯の形が完成しました。この硯の形の成立には今では当たり前のスティック状の〝墨〟の完成が必須でした。 この硯の形の完成は唐代のことと言われ現在でも〝唐型硯〟というスタイルで定着しています。

〇硯石について
雨畑の石は良質な粘板岩であり岩石が生成される際の圧力によって板状に生成されるはっきりとした石目をもった素材です。 その際に雲母、石英といった硬質な微粒子が均一に発生し、この〝鋒鋩〟と呼ばれる粒子が墨を磨る硯の生命です。 適度な硬度の石質であると長く使用していても最適な〝鋒鋩〟が保持される。これが何よりも大切な硯石の条件です。 しかし自然生成された素材ですので異物が混入していたり 傷が多い石が殆どです。雨畑には粘板岩状の山肌が沢山見られますが硯に適した良材は限られた層から産出される貴重なものです。
この原石を硯にするには まず上下面をタガネ→鑿→砥石を用いて水平とし板状に整えます。 切断機、砥石等を用いてさらに外形を整え、多様な刃先の鑿を用いて墨堂、墨池(陸、海)を掘り進めます。 次に砥石を用いて磨いていきます。 〝磨き〟といっても ただつるつるに磨き上げるのではなく何よりも最適な〝鋒鋩〟に整える事が大切です。 最終的に墨ぬりをへて墨堂墨池以外の硯まわりを拭き漆で炭の微粒子を定着させてブラシで拭き上げて艶を出して仕上げます。

〇私の作品制作について
作品制作においてはまず明確なイメージを持つ事が大事になります。そのイメージの形を頭の中で三次元で回転させて多方向からも形がイメージできるように練り上げます。 大切なのは頭の中で形が周りの空間ごと ひとつの風景として再現できるかという事です。 次にそのイメージが現実化できそうな原石を探します。この時に自分のイメージした形がそのまま実現できる大きさ、プロポーションの原石はほぼ無いのが現実です。なんとか形になりそうな素材を選びイメージと原石をすり合わせながら制作を進めていきます。 はじめから思い通りにいかない状態からイメージだけを頼りに制作を進めます。まるでアドリブを積み重ねるジャズの演奏のように その模索の時間こそが制作の喜びです。その不確定な制作の最中に当初思い描いていなかったようなものがまるで天の啓示のように湧き上がってくることもあります。この天からの啓示を引き寄せる力 柔軟に対応して最終的には自分の形にできるという自信のようなものが 今まで自分の培ってきた造形力(創造性)なのだと私は考えています。
しかし、工芸会の別の素材の作家との会話から創造の過程には別な形がある事も発見しました。その作家は制作当初に厳密な設計図を描きそれが完璧に実現出来る事が素晴らしい制作工程だと話していました。私と全く違う考えですが、その一枚の設計図には深い経験が反映されていると考えられます。私も日々の生活の中で路上の枯葉に新しい造形要素を発見するなど 目にする全てのものを硯造形に引き寄せて見てしまう習慣があります。
そういった観察の蓄積が作品イメージに結実していく。 日々の習慣と経験が創造力の源だという点では同じなのかもしれません。

〇これからの〝硯〟
硯の未来を考えるうえで こんな現実があります。 毎年 小学生50名ほどが伝統文化を学びにやって来るのですが殆どの子ども達が硯が墨を磨る道具である事を知らないのです。 現在の小学生の書道セットに入っている硯は樹脂制でほぼ墨汁をためる為だけに使われています。そのために実際に石の硯で墨を磨った経験のある子は僅かだろうとは思っていましたが そこまでとは驚きでした。そこで現在は実際に硯で墨を磨ってもらうワークショップを積極的に開催しています。墨を磨る時の感触、香などで気持ちが落ち着く時間を体験し、磨った墨で描いてもらうことで墨汁とは違った多彩な色合いを発見してもらいます。墨汁を使った書道の時間も入門として大切ですが 実際に石の硯で墨を磨る豊かさは心に残ってくれると信じています。 〝文化としての硯〟を今後とも伝承していきたいと思います。
硯を現代の造形として広める事も私の夢です。硯に向き合う事は禅の石庭に瞑想することと同義である事 いわば〝ZEN. STONE〟として海外にもアピール出来たらと思っています。硯の存在は地味で小さなものですが日本文化を支える大事な要素として広めていけるよう精進を重ねたいと思っています。

<句会報告> 講座の後、句会が開催されました。選者:雨宮弥太郎、西川遊歩、長谷川櫂
雨宮弥太郎 選
【特選】
硯より湧くこゑを聞く楸邨忌        西川遊歩
月涼し心はさらに墨磨れば         齋藤嘉子
悠久の時を削りて硯とす          上田雅子
滴りやみるみる目覚め大硯         西川遊歩
空掴む吾子の掌新樹光           丸茂秀子
【入選】
月一つ沈めて深き墨の海          三玉一郎
遠き日の墨磨る父や星祭          鈴木美江子
文鎮と硯の重み夏休み           奈良握
漂泊の硯の寓居月涼し           西川遊歩
魂の涼しと思ふ硯かな           きだりえこ
うち澄まし硯にうつす梅雨の月       足立心一
手のひらにあたたかくある硯かな      高橋慧
星涼し今宵夜空を硯かな          葛西美津子
遺されし硯一片夏の雲           飛岡光枝
墨磨れば香の運びくるはるか夏       越智淳子
墨書てふ虚実のあはひ沙羅の花       長谷川冬虹
青墨の涼一文字や夏座敷          金澤道子

西川遊歩 選
【特選】
月一つ沈めて深き墨の海          三玉一郎
涼しさの甲斐に硯の海ひとつ        イーブン美奈子
青山河研ぎ出したる硯かな         齋藤嘉子
一つ葉に目をやすめては硯彫る       長谷川櫂
山滴るその一滴を硯とす          齋藤嘉子
月涼し墨摩るほどに心澄み         木下洋子
【入選】
滴りの滴一滴と硯磨ぐ           葛西美津子
涼しさや硯の海をわたりゆき        イーブン美奈子
遠き日の墨磨る父や星祭          鈴木美江子
青梅雨の窓に籠りて硯彫る         葛西美津子
ならまちや墨の香のたつ麻のれん      きだりえこ
魂の涼しと思ふ硯かな           きだりえこ
滴りのただ一滴の硯かな          三玉一郎
迸る井戸のポンプに硯洗ふ         越智淳子
手のひらにあたたかくある硯かな      高橋慧
浮葉より硯の海へひと雫          きだりえこ
筆硯濯ぎてよりの夕涼み          きだりえこ
青墨の涼一文字や夏座敷          金澤道子
雄勝石戴く駅舎梅雨曇           足立心一
大いなる硯に山の滴りを          木下洋子

長谷川櫂 選
【特選】推敲例あり
硯より湧くこゑ聞かん楸邨忌        西川遊歩
青山河研ぎ出したる硯かな         齋藤嘉子
滴りやみるみる目覚め大硯         西川遊歩
【入選】
滴りの滴一滴と硯磨ぐ           葛西美津子
初盆やそのままにある硯箱         鈴木美江子
くろぐろと春一文字初硯          三玉一郎
翠巒に対すがごとく硯あり         齋藤嘉子
明易やしんと雨畑硯あり          飛岡光枝
一片の蓮の花びら硯かな          飛岡光枝
墨磨つて今日の一文字夏休み        飛岡光枝

5月 きごさい+報告 「韓国の四季と生活」

きごさいBASE 投稿日:2024年5月26日 作成者: dvx223272025年9月24日

5月12日、第34回きごさい+がズームで開催されました。

     韓国の四季と生活 ― ソウル俳句会の俳句から
                                                              ソウル俳句会顧問 山口禮子

1 はじめに
ソウル俳句会は「俳句を通しての草の根の日韓親善」を掲げ、初代代表、戸津真乎人が在韓の日韓の人々に呼びかけ1993年に発足。以来「師もなく派もない」句会として今年、31年目を迎えた。この間、年に1度の合同句集の発行、そして2000年からの日本の俳人を招請しての講演、句会を催してきた。稲畑汀子、金子兜太、有馬朗人、黒田杏子、坪内稔典、長谷川櫂、夏井いつき、星野椿、神野紗希、本井英、岸本尚毅、高田正子ほか、諸先生方の直接のご指導は、陸の孤島のソウル俳句会にとっては刺激的、かつ素晴らしい学びの経験となった。
また500回を迎えようとしている月2回の定例句会(勉強会と吟行句会)ではたくさんの句が詠まれてきた。そこには韓国ならではの風景、韓国ならではの感慨が詠まれている。ソウル俳句会版「韓国俳句歳時記」の目安はついているんではないかと思う。
昨年7月からは、ソウル大学で日本の古典文学を講ずる齊藤歩五代目主宰、石川桃瑪副主宰、ソウル本部、なにわ支部、東京支部の会員、合わせて80余名の新体制になったが、これからも韓国で、日本で、韓国の四季と生活を、ソウル俳句会ならではの句を大いに詠んで、充実した「韓国俳句歳時記」が編纂されることに大いに期待している。

2 ソウルの気候
ソウルは温帯性、大陸性気候に属し、四季がはっきりしている。夏は高温多湿で、冬は寒冷で乾燥し、春と秋はからっとした晴れの日が多い。寒暖の差が大きく気温の年較差、日較差が大きい。2022年で見ると降水量は年間1478mmだが、雨は7、8月に年間の55%に当たる817mm(東京は388mm 24%)と集中して降る。
ソウルの顕著な気候現象の例として黄砂と氷板(ピンパン)キルについて見てみたい。
a黄砂【春】
中国、モンゴルと地続きのため、そして春の乾燥気候のため、、数メートル先が見えないほどの黄砂に見舞われる。
黄砂にもなほ白光の夕日かな  延与紀舟
楼閣の黄砂を洗う雨優し  神野有楽
b氷板(ピンパン)キル【冬】
厳寒のソウルでは道が凍ることはしばしば。
ピンパンキル滑って転んで空青し  孫可楽(ソンカラク)
千鳥足行く手にキラリ氷板道(ピンパンキル)  中田悟空

3 花が彩る韓国の四季
日本と同じ温帯に属するソウルでは植生は似ているが、興味深いのは植物の持つ意味合い、イメージが異なっていることがあることだ。
a桜【春】
韓国では植民地時代に各地に植えられたが、1945年の独立後には「日本の残滓」として伐採運動が起こった。その後、1974年に朴正煕大統領が「もともと韓国に自生していた」と植林を勧めたこと、さらに「ソメイヨシノの原産地は済州島である」という風説が広まり、全国各地に盛んに植えられ、現在では国民的な花になった。
日本人が古来、桜に「あはれ」を見てきたのに対し、韓国の桜は春を謳歌する花として愛でられているようだ。
半島をバスは南へ初桜  文茶影(ムンチャカゲ)
花冷やけふ閉店の骨董屋  那須川結香
bアカシアの花【夏】
韓国各地の緑化をめざして1960、70年代に、成長の早い樹木として韓国各地にニセアカシアが植えられた。
アカシアの花眠たげに午後のお茶  田中穂積
山裾のアカシア白き白き雨  村松玄歩
c無窮花(ムグンファ) 木槿【秋】
「槿花一日の栄え」と日本では栄華のはかなさに例えられるが、韓国では次々に蕾をつけ夏から秋、3か月にわたり花を咲かせるたくましさ、健気さを愛で、国花に指定されている。
燃えるもの芯にこめたる無窮花かな  畔柳海村
d茶の花【冬】
李朝の儒教政策により寺の専売だった茶文化は衰退。現在は日本のようにポピュラーではなく、趣味的な飲料として一部に好まれている。
茶の花や南道(ナムド)の寺のをんな坂  山口禮子

4 ソウル俳句会のテーマBEST5
ソウル俳句会で多く詠まれているテーマ5題を挙げる。
a連翹・ケナリ【春】
日本では里山など連翹は鄙びたところの花というイメージだが、ソウルでは街中に、河川敷に、高速道路の路肩に、あらゆるところに奔放に咲き、春を告げる。
行く処連翹の花瀧をなす  長谷川櫂
地より湧き崖よりふりてケナリかな  石川桃瑪
館まで道明くしてケナリ垣   呉花梨(オカリン)
ケナリ咲く図書館裏のかくれんぼ   雨宮白路
b市場・露店
南大門、東大門の大型市場をはじめ、昔ながらの在来市場、水産市場、韓方薬市場、そしてさまざまな露店では韓国のエネルギーが全開している。

山をなす古物市の夏衣  原浩朗
着ぶくれの店番大蒜剥きながら  池端さち
鮟鱇の生肝白くはみ出たる   湊月呻
冬晴や薬令門の香を潜る    金和園(キムファオン)
寒月と別れ屋台の人となる  山口嵩史

c王宮
李朝の都、ソウルには五つの王宮があり、それぞれが悲喜交々の歴史の舞台であり、往時を偲ぶだよすがになっている。住民にとっては大都会にありながら木々を蓄えたオアシスでもある。
衛兵の眉の緩みぬ春隣  安藤脩壱
交泰殿妃なき御苑の春しぐれ    康順子(カンスンジャ)
徳寿宮鳥戯れる茂りかな  吉田鎭雄
宮殿の森の夏蝶見てしまふ   荻野ゆ佑子
d漢江(ハンガン)
韓半島江原道南部からソウル市中央を流れ、黄海に注ぐ全長514kmの大河。河川敷にはグランド、遊歩道などが設けられ、市民の憩いの場になっている。
朝もやに漢江抱きしめられる春   江上一郎
漢江の太き橋脚大西日    堀妙子
秋澄むや向ふの橋の名は知らず   杉山杉久
漢江を龍に変えむと秋の雨   平松かつみ
eDMZ 非武装地帯
1953年、朝鮮戦争休戦協定朝鮮戦争の休戦ラインとして北緯38度付近に南北軍事境界線が発効し、DMZは韓国、北朝鮮のそれぞれ幅2kmの非武装地帯韓のこと。
鳥雲に臨津江の負のあたり  神山洋
冬空や視界の先まで分断線   横山全徳
駅頭の迷彩服に冬尖る  澤田俊樹

5 韓国の生活 食べる・着る・住む
a旧正月と秋夕【新年・秋】
韓国の二大名節。陰暦1月1日、8月15日で、その前後を合わせ3日間が公休日となる。多くの人が宗家に出向き、親族がともに過ごし、祖先の祭祀、墓参をする。目上の人にする新年の挨拶が歳拝(セベ)。
歳拝する子親より高き背を伏して  李秀珉(イシュウミン)
秋夕や帰省の列に吾子探す  黄玉(コウギョク)
bパッピンス 氷小豆
氷小豆だが、一人では食べきれないボリューム。
パッピンスただ自堕落に刻過ぎぬ   畔柳その子
c冷麺 ネンミョン【夏】
冷麺に鉄鋏入り冷え増せり    前原正嗣
e蔘鷄湯(サムゲタン)・補身湯(ポシンタン)【夏】
三伏の日に暑さに負けぬよう食する滋養食。補身湯は犬肉の鍋料理。
蔘鷄湯おもてに顔出す鶏の脚  川合鉢
ポシンタンうちのポチには秘密です  牛嶋竹志
fキムヂ(ジ)ャン【冬】
本格的な冬に入る前に越冬用のキムチを漬ける。一家、近隣の女性が集まり、大量の白菜を漬ける。
キムジャンのキムチの軸の未だ硬き  齊藤歩
キムジャンのたらいを洗うばかりなり 柿嶋慧
fトゥルマギ【冬】
韓国の伝統的な外套。
綿入れの嫁入りトゥルマギ猶今も  沈丁花
g温突(オンドル)【冬】
床暖房。かつては薪、練炭の煙を床下に通して床を温めたが、現在は床の中に這わせたパイプにボイラーで沸かした湯を通して温めるスタイルが一般的。
オンドルの床で微睡む猫となる  伊牟田真紀
g 竹夫人【夏】
日本ではほとんど見られなくなったが、韓国では市場、トラックの移動販売などで今も売られている。
竹婦人連れて帰るか故郷へ   木村順平    ※竹婦人は作者の造語

***********
<句会報告> 選者:山口禮子、趙栄順、長谷川櫂
山口禮子 選
【特選】
ふるさとを行つたり来たりハンモック    三玉一郎
オボイナル連なる家譜といふ重み      金和園
カチ鴉鳴き交はしけり五月闇        飛岡光枝
先生の日は先生の本を読み         三玉一郎
月涼しマッコリ注ぐ大薬缶         西川遊歩
明易や朝なほ灯す東大門          趙栄順
半べそに五月連休終りけり         鈴木美江子
初夏や満天星丸く丸く刈り         原浩朗
ほととぎす蒼い夜明けを連れてくる     西夏
【入選】
あの頃はいつもこの席パッピンス      延与紀舟
ゆふぐれの人を待つ人みずすまし      鈴木沙恵子
木浦までなんじゃもんじゃの道案内     高瀬澪
新調の靴は弾くよ新樹光          士道
韓国の四季知るうれしさ立夏かな      谷口正人
田水張るど真ん中行く予讃線        小川裕司
顕忠日硝煙しむる木の十字         金和園
ブラックデー一世を笑ひ飛ばしけり     三玉一郎
薫風や一升餅を負ふて立つ         齋藤嘉子
糊代のずれたる口や鯉のぼり        士道
山と積む金真桑の夏来たりけり       葛西美津子
りうりうと風従へて楠若葉         きだりえこ
この橋を渡れば俺も山桜          西夏
篠の子の剥かれて皮の堆し         石川桃瑪
亀の子や大器のへんりん蔵したる      園田靖彦
筑波嶺と空分かち合ふほととぎす      きだりえこ

趙栄順 選
【特選】
月光の肌ひやひやと竹夫人         長谷川櫂
おろされて肩で息する鯉幟         園田靖彦
悠久の漢江とゆくヨットかな        吉田静生
黒揚羽離宮に影を濃く淡く         金澤道子
月涼しマッコリ注ぐ大薬缶         西川遊歩
山と積む金真桑の夏来たりけり       葛西美津子
鵲に自由自在の夏来る           イーブン美奈子
大盥ぶつかり合うて金真桑         飛岡光枝
短夜や甕にマッコリ香りたつ        葛西美津子
短夜をましろき韓の酒酌みて        山口禮子
【入選】
ふるさとを行つたり来たりハンモック    三玉一郎
冷麺に銀のはさみを入れにけり       飛岡光枝
母の日や故郷へ贈る杖一本         雨宮白路
更衣愛することの難しさ          原山のび太
カチ鴉鳴き交はしけり五月闇        飛岡光枝
参鶏湯滾れ夏負け吹き飛ばせ        西川遊歩

長谷川櫂 選
【特選】
冷麺に銀のはさみを入れにけり       飛岡光枝
母の日や故郷へ贈る杖一本         雨宮白路
悠久の漢江をゆくヨットかな        吉田静生
月涼しマッコリ注ぐ大薬缶         西川遊歩
山と積む金真桑の夏来たりけり       葛西美津子
【入選】
母の日や母とならんとする人と       藤岡美恵子
夏きざす鎌倉は山高からず         金澤道子
縁いま国境を越え青あらし         三玉一郎
明易や朝なほ灯す東大門          趙栄順
草餅や娶り娶られ五十年          園田靖彦
金真桑ぶつかり合うて大盥         飛岡光枝
明易の空鳴き渡るカチ鴉          葛西美津子
短夜や甕にマッコリ香りたつ        葛西美津子
ゴスペルの手打ち足踏み聖五月       鈴木美江子
母の日や羽田の沖で散骨す         新名隆
鳳仙花近くて近き国であれ         藤岡美恵子
父母の日や光州ははるか手を合はす     奈良握
ほととぎす蒼い夜明けを連れてくる     西夏

7/6 (土) ズームできごさい+ 「硯がひらく世界」

きごさいBASE 投稿日:2024年5月12日 作成者: dvx223272024年7月14日

さまざまなジャンルから講師をお迎えして季節や文化に関わるお話をお聞きする「きごさい+」
今回の講師は、甲斐雨端硯本舗 13代目硯匠 雨宮弥太郎さんです。どうぞぜひご参加ください。
講演の後、句会もあります。(選者:雨宮弥太郎、西川遊歩、長谷川櫂)

日 時 : 2024年7月6日(土) 13:30~16:00
演 題 : 硯がひらく世界
講 師 : 雨宮 弥太郎 (あめみや・やたろう)

プロフィール:
甲斐雨端硯本舗 13代目硯匠
1961年、山梨県鰍沢元禄3年(1690年)より硯制作に携わる弥兵衛家に生まれる。子供時代より芸術への憧れが強く東京藝術大学彫刻科に入学。1989年 同大学院を修了。1990年より日本伝統工芸展に出品をはじめ、現在日本工芸会正会員。硯を現代彫刻として制作している。2013年米国フロリダ州森上博物館「Contemporary KOGEI Styles in Japan」 2017年奈良薬師寺「平成の至寶八十三選」展 日本橋三越にて個展など出品している。

講師からのひと言
硯は墨を摩るための道具にとどまらず 硯に向かい墨を摩るうちに 心を鎮め自分の内面と向き合うための道具であると考えています。いわば〝精神の器〟として現代の造形としての可能性を感じています。悠久の時間を経てきた原石を削り磨くというシンプルな制作過程の中に自分の培ってきたものが形に宿ると考えています。
硯に向き合うことで自分を開放し宇宙のリズムと共鳴する。私には俳句も季語という魔法の鍵の助けを借りて自分の内面に大自然をかたちづくるというイメージがあります。
硯について語りながら〝創造=想像すること〟について考える事ができたらと思っております。

2024年7月6日(土) 13:30~16:00  (13:15~ Zoom入室開始)
13:30~14:45  講演
14:50~15:20  句会(選句発表)
15:20~16:00  西川遊歩(きごさい編集委員)との対談、質疑応答

ズームのURL、句会の入力フォームのURLは、申込みをされた方に7/2頃までにメールで配信致します。かならずご確認ください。
句会:当期雑詠5句 前日投句です。 選者:雨宮弥太郎、西川遊歩、長谷川櫂
前日7/5(金) 17時までに所定のフォームから投句。ただし句会の参加は自由です。

韓国、仁荷大学に植樹した山桜の写真です

きごさいBASE 投稿日:2024年4月14日 作成者: dvx223272024年4月21日

季語と歳時記の会(きごさい)の仕事の一つに「山桜100万本植樹計画」があります。
第1回目は2008年5月、新潟県加茂市の雙璧寺に120本を植樹しました。二回目は翌年2009年10月、韓国仁川市にある仁荷(インハ)大学校キャンパスに3本を植樹しました。
仁荷大学の王淑英先生からその山桜の写真が送られてきましたので掲載いたします。今日(4/14)の朝撮った写真です。クリックすると大きくなります。




3月きごさい+報告「心ときめく雛祭りの菓子」

きごさいBASE 投稿日:2024年4月9日 作成者: kasai33412025年9月25日

3月16日、第33回きごさい+がズームで開催されました。講師は、きごさい+ではおなじみの株式会社虎屋・虎屋文庫主席研究員の中山圭子さん。中山さんの講座は今年で8年目、春夏秋冬の和菓子に続いて羊羹、落雁、南蛮菓子と毎回好評です。そして今回のテーマは「心ときめく雛祭りの菓子」でした。

講座 レポート 

3月3日の雛祭りが過ぎると、お嫁に行くのが遅れるからと早々にお雛様を片づけられてさびしかった。「旧暦で雛の節句を祝う地域もある」という中山さんのお話の通り、前に訪ねた山国の旧家では3月下旬というのに立派なお雛様が飾ってあって心が華やいだ。ずっと飾ってあればいいのに、と思わないこともないが、節句という節目があることが、一年を過ごしていく上で大切なのだろう。

雛人形も雛菓子も愛らしく美しく、女子限定の楽しいお祭り。中山さんのお話を聞くまではそんな単純なイメージだったが、雛祭りのルーツは中国伝来の厄払いの行事という。そういえば流し雛という儚い行事も今に続いている。そして雛菓子にも深い意味と歴史があった。

レジュメにそって、画面には生き生きとした錦絵や貴重な史料、美しく可愛らしい雛菓子の画像が次々と紹介され、中山さんの明快で楽しいお話が始まった。

〇雛祭りの歴史

 もともと雛祭りは上巳(じょうし)の節句と呼ばれ、中国の風習にならい、禊(みそぎ)や穢(けが)れ祓いが行われていた。雛人形の始まりも、身の穢れを移して川に流した「ひとがた」(形代(かたしろ)・後の流し雛)といわれる。人形を飾る女子の節句として定着するのは江戸時代に入ってからで、幕府が五節句の一つとしたことから、全国各地に広まった。

〇雛菓子について

上巳の節句には、厄祓いの意味から、香りの強い草餅を用意する習わしがあった。平安時代には、母子(ははこ)草(ぐさ)(春の七草のひとつ、ごぎょう)を餅に搗き交ぜた母子餅が主流だったが、雛祭りが定着する江戸時代には蓬を使ったものが多くなる(一説に母と子を搗き混ぜるのは縁起が悪いという解釈がある)。雛壇に供える菱餅は、草餅と白い餅を組み合わせた、緑と白の配色が一般的であった。菱餅の意味については諸説あるが、古代中国の陰陽思想の影響が強いのではないかと考えられる。

菱餅の形を不思議に思っていたが陰陽思想の関連とは驚いた。菱の形は女性の象徴、五月の節句の粽は男子の象徴、という解釈もあるのが興味深い。また、現在の菱餅は赤、白、緑の三色三段だが、江戸時代は緑と白の餅を交互に奇数に重ねていたのが文献に見られ、錦絵にも描かれている。何点か紹介された錦絵は雛段の豪華さや雛祭りを楽しむ人の様子が生き生きと描かれて楽しかった。

このほか、雛菓子として紹介されたのは、

〇雛あられ…煎った糯米、はぜ(爆米、葩煎)が原形。 関西の雛あられはあられやおかき類である。

〇あこや(いただき・ひっちぎり)…京都でよく見られる雛菓子。「あこや」とは真珠貝のことで、餡をいただいているので「いただき」、先端をちぎったような形から「ひっちぎり」ともいう。

「あこや」は不思議な形、そして色も可愛くてとても魅力的な菓子だ。江戸時代からあったが、雛菓子として江戸では定着しなかったとのこと。虎屋では京都店限定で雛節句の期間のみ販売しているそうだ。手に取って見てみたい、食べてみたい、東京で買えないとはとても残念。

〇そのほか…生菓子・金花糖・有(ある)平(へい)糖(とう)・落雁など

生菓子は桃の花や果実、蛤、お雛様などをモチーフにしたものが見られる。金花糖は砂糖液を木型などに流し込んで固めたもの。鯛や果物、野菜などさまざまな形があり、一般に中身は空洞である。有平糖は南蛮菓子のひとつで、飴細工である。

『宝暦(ほうりゃく)現来集(げんらいしゅう)』(1831自序)によれば、1770年代頃には、鯛や松竹梅をかたどった安い落雁などの雛菓子を行商するものもいたそうだ。また、幕府の御用学者、屋代(やしろ)弘(ひろ)賢(かた)らによる『諸国風俗問状答』(1813頃)は、各地の行事についてのアンケート調査のようなもので、雛祭りについての項目もある。草餅に母子草を使わない地域が多い中、出羽国秋田領や丹後国(京都府)峯山領などでは蓬同様、使用していること、備後国(広島県)深津郡本庄村では、昔は母子草で今は蓬にかわったことなどがわかるという。

江戸時代の雛菓子については、御所御用をつとめた虎屋の雛菓子の記録も紹介された。貞享4年(1687)3月3日には小さな饅頭を3000ばかり納めたそうだ。元禄年間には、模様入りの惣銀の折や杉重箱に菓子を詰め、納めたとのこと。小さい雛菓子を納める専用の雛井籠や重箱なども紹介されたが、なんて豪華で雅なこと! 御用記録の中には、雛菓子の大きさ(1.5~2㎝)がわかる略図を書いたものもあり、そんな小さな雛菓子が作れるの、とため息がでる。美しい入れ物に詰められたたくさんの愛らしい雛菓子、ご覧になった宮中のお姫様の驚きと喜びはいかばかりかと思う。

なお、現在にも伝えられる雛菓子は地方色豊かで、くじ(ぢ)ら餅(山形)、花饅頭・きりせんしょう(岩手)、金花糖(石川ほか)、ひな餅(島根)、からすみ(岐阜・愛知)、桃カステラ(長崎)、三月(さんぐゎち)菓子(ぐゎーし)(沖縄)ほかいろいろあるそうだ。

***

中国から伝わった厄を払う行事(形代を流す)が女子の成長を祝う華やかな雛の節句に、強い草の香りで厄を払う母子餅が色とりどりの可愛らしい雛菓子に、と江戸時代中期以降、日本では明るく楽しい雛祭りとして発展・定着してきた。一方中国では雛祭りのような行事は聞かないという。厄払いの食べ物を美しくおいしい菓子に変えていくのも日本人の特性かもしれない。また小さなものを愛でる感性は日本人が一番のような気がする。春のひと日、雛菓子の歴史と美に心ときめき、雛の節句の本来の意味を知る充実したお話だった。(葛西美津子記)

 

参考図書

亀井千歩子『日本の菓子』東京書籍 1996年
亀井千歩子『縁起菓子・祝い菓子』淡交社 2000年
『聞き書ふるさとの家庭料理 <別巻> 祭りと行事のごちそう』農文協編 2004年
服部比呂美「庄内地方における雛祭りの飾り物‐雛菓子と押絵雛菓子‐」
無形文化遺産研究報告第2号 所載 2008年
溝口政子・中山圭子『福を招くお守り菓子』講談社 2011年
つるおか伝統菓子 令和3年度・令和4年度「鶴岡雛菓子」調査報告書 (ネットで閲覧可)

開催中の虎屋の展示

  • 和菓子とマンガ

東京ミッドタウン店ギャラリー(六本木) 6月26日(水)まで

  • 家紋と和菓子のデザイン展

  虎屋 赤坂ギャラリー   5月30日(木)まで

 

虎屋文庫について

和菓子文化の伝承と創造の一翼を担うことを目的に、昭和48年(1973)に創設された「菓子資料室」。室町時代後期創業の虎屋に伝わる古文書や古器物を収蔵、和菓子に関する資料収集、調査研究を行っている。学術研究誌『和菓子』を年1回発行。

非公開だが、お客様からのご質問にはできるだけお応えしている。

株式会社 虎屋 虎屋文庫 〒107-0052 東京都港区赤坂4-9-17 赤坂第一ビル2階

E-mail  bunko@toraya-group.co.jp TEL 03-3408-2402   FAX 03-3408-4561

 

句会報告   選者=中山圭子、長谷川櫂

◆ 中山圭子 選

【特選】
ひとひらの花びら紛れ雛あられ     飛岡光枝
遠山の雪を集めて金花糖        飛岡光枝
見えぬもの見てゐる母よ桃咲いて    イーブン美奈子
まだ夢を見てゐる箱の桜もち      飛岡光枝
花時の闇の向かふの戦火かな      宮本みさ子
雛あられこぼれて遠き昔かな      齋藤嘉子

【入選】
畳むとき緋毛氈より雛あられ      きだりえこ
祖母が煎る大地の色よ雛あられ     齋藤嘉子
どこぞより一声聞こゆ鶯餅       長谷川冬虹
桃の花けぶれる里に雛の家       葛西美津子
永遠にあれ戦なき世の雛祭       澤田美那子
白は雪淡紅は花雛あられ        長谷川櫂
春愁が色とりどりや雛あられ      三玉一郎
よもぎ餅搗いてみどりの杵と臼     宮本みさ子
雛あられくすくす笑ひだしさうな    葛西美津子

◆ 長谷川櫂 選
【特選】
まだ夢を見てゐる箱の桜もち      飛岡光枝
【入選】
嬰の目に春のつぼみがひらくかな    趙栄順
クレヨンで目鼻もらひぬ紙雛      齋藤嘉子
羊羹の切り口濡れて雛の間       宮本みさ子
草餅を少し温めて分け合うて      奈良握

「動物季語の科学的見解(鳥類)」を追加しました

きごさいBASE 投稿日:2024年4月8日 作成者: dvx223272024年4月10日

 東海大学教養学部の藤吉正明先生による「動物季語の科学的見解」の追加です。二回目は鳥類の73季語、

赤鬚(あかひげ) 鷽(うそ) 鵲の巣(かささぎのす) 河烏(かわがらす) 河原鶸(かわらひわ) 小綬鶏(こじゅけい) 鷺の巣(さぎのす) 雀の巣(すずめのす) 巣箱(すばこ) 燕の巣(つばめのす) 鴉の巣(からすのす) 鳩の巣(はとのす) 松毟(まつむしり) 山鳥(やまどり) 白鳥帰る(はくちょうかえる) 引鶴(ひきづる) 岩燕(いわつばめ) 山椒喰(さんしょうくい) 仙台虫喰(せんだいむしくい) 頬白(ほおじろ) 藪雨(やぶさめ) 青鷺(あおさぎ) 蒿雀(あおじ) 青葉木菟(あおばずく) 青鳩(あおばと) 赤翡翠(あかしょうびん) 赤腹(あかはら) 鯵刺(あじさし) 雨燕(あまつばめ) 桑扈(いかる) 磯鵯(いそひよどり) 岩雲雀(いわひばり) 海猫(うみねこ) 蝦夷虫喰(えぞむしくい) 柄長(えなが) 大瑠璃(おおるり) 郭公(かっこう) 雷鴫(かみなりしぎ) 河鵜(かわう) 黄鶲(きびたき) 黒鶫(くろつぐみ) 鳧(けり) 小雀(こがら) 五十雀(ごじゅうから) 駒鳥(こまどり) 小瑠璃(こるり) 笹五位(ささごい) 鮫鶲(さめびたき) 三光鳥(さんこうちょう) 四十雀(しじゅうから) 雪加(せつか) 玉鴫(たましぎ) 筒鳥(つつどり) 虎鶫(とらつぐみ) 野鶲(のびたき) 鷭(ばん) 日雀(ひがら) 便追(びんずい) 仏法僧(ぶっぽうそう) 頬赤(ほおあか) 星鴉(ほしがらす) 眉白(まみじろ) 水薙鳥(みずなぎどり) 溝五位(みぞごい) 眼白(めじろ) 眼細(めぼそ) 山雀(やまがら) 山翡翠(やませみ) 葭五位(よしごい) 夜鷹(よたか) 雷鳥(らいちょう) 瑠璃鶲(るりびたき) 巣立鳥(すだちどり)

 以上季語の解説が新しくなりました。ぜひ、お読みください。今後は、鳥類の追加や魚類、爬虫類、昆虫などについての改訂も予定しております。
 なお、今回の改訂にあたって引用及び参考にした文献は以下の通りです。

引用及び参考文献
・叶内拓哉・浜口哲一(二〇〇八)新装版山渓フィールドブックス十五 野鳥、山と渓谷社
・小林桂助(一九九六)エコロン自然シリーズ 鳥、保育社
・小宮輝之(二〇一〇)増補改訂フィールドベスト図鑑 日本の野鳥、学研教育出版
・高野伸二(二〇一五)増補改訂新版 フィールドガイド 日本の野鳥、日本野鳥の会
・高野伸二(一九九六)山渓カラー名鑑 日本の野鳥、山と渓谷社
・戸塚学・箕輪義隆(二〇一二)身近な野鳥観察図鑑、文一総合出版
・中村登流・中村雅彦(一九九五)原色日本野鳥成体図鑑(水鳥編)、保育社
・中村登流・中村雅彦(一九九五)原色日本野鳥成体図鑑(陸鳥編)、保育社
・松田道生(二〇〇八)日本の野鳥図鑑、ナツメ社
・本山賢司・上田恵介(二〇〇六)鳥類図鑑、東京書籍

きごさい 第十六号が出ました

きごさいBASE 投稿日:2024年3月27日 作成者: dvx223272024年4月2日

特集 AI俳句の現在
AI&人間 合同誌上句会           きごさい編集部編
誌上座談会AI句作を語る           きごさい編集部編
AI一茶くんの仕組み             山下倫央
考察人間はなぜ俳句を詠むのか         藤英樹

明治以降に生まれた季語            橋本直
牧野富太郎が名付けた身近な植物        藤吉正明
『新版角川俳句大歳時記』ここが変わった    高橋真樹子

連載 加藤楸邨×大岡信 対談④
検証 草田男の「楸邨氏への手紙」 構成・解説 西川遊歩

連載 末期的大衆社会をどう乗り越えるか⑤
俳句はネット社会を生き抜けるか        関根千方

HAIKU+(今何が問題か)
季語と暮らし                 谷口智行

きごさい+(講座+句会)
小倉百人一首 競技かるたの世界        ストーン睦美
台湾映画の世界「悲情城市」から多様性の台湾へ 林ひふみ
異国への憧れ、南蛮菓子あれこれ        中山圭子
季節をめぐる鳥の世界             樋口広芳

動物季語の科学的見解 鳥類(春・夏)     藤吉正明

「一月の川一月の谷の中」はなぜすばらしいのか 長谷川擢

第十二回きごさい全国小中学生俳句大会報告

第十三回 きごさい全国小中学生俳句大会 表彰式

きごさいBASE 投稿日:2024年3月20日 作成者: dvx223272024年3月20日

3月9日(土)都立清澄庭園内、大正記念館におきまして「第十三回きごさい全国小中学生俳句大会 表彰式」が行われました。
授賞式参加のために来場した皆さまが、清澄庭園の池を巡り、ご家族そろって笑顔で大正記念館に入ってこられ受付をなさる姿が印象的でした。保護者の方から「三月の青空と優しいひかりそして澄み切った空気、開放的なガラス張りの記念館とお庭、鮮やかな花と鳥たち」と表現された庭園はいつまでも見飽きない景色でした。
今回の「きごさい全国小中学生俳句大会」には、大賞、特選、入選、佳作、研究会賞、学校賞の表彰者約30名と、保護者約50名、合わせて80名を超える皆さまが、東京都内はもちろんのこと、大分県や山口県、また高知県や京都府など遠方からもお越しになりました。本俳句大会では、外国の日本人学校を含め、29都道府県132校から17,000名の応募があり、過去最高の応募数となりました。
表彰式では、壇上の受賞者が緊張しながらも、賞状を客席にご披露くださる場面も見られ、会場から盛んな拍手が送られておりました。

【大賞】
あせいっぱいぼくのからだであそんでる
土佐市立高岡第一小学校
五年 関 隆佑さん

髙田正子氏
【特選】
いますぐにはしりだしたいとかげかな
世田谷市立桜丘小学校
三年 濱﨑 葵さん

ドッカーンほえているんだ大花火
土佐市立高岡第一小学校
四年 中平琉輝矢さん

満月へ道がつながるはしの上
江東区立川南小学校
六年 伊藤 翔さん

長谷川櫂氏
【特選】
父がつくる雑煮の味は母の味
山口大学教育学部附属光中学校
三年 久保めぐみさん

終戦日影も子どももみな消えた
大分市立大在小学校
五年 松尾彩希さん

あせいっぱいぼくのからだであそんでる
土佐市立高岡第一小学校
五年 関 隆佑さん

小山正見氏
【特選】
夏祭りみこし空まで持ち上げる
静岡学園中学校
三年 宮村 圭さん

マイルール白線たどる春の道
足立区立島根小学校
五年 杉瀬 葵さん

青空を貸し切りにして運動会
江東区立明野小学校
六年 安井彬人さん

その後行われた講評会では、長谷川櫂氏、髙田正子氏、小山正見氏、飛岡光枝氏、上澤篤志氏による鑑賞講評とともに、受賞者自身の飾らない生の思いも語られ、受賞作品をより深く多面的に味わう機会になりました。
表彰式では、副賞として、書道家であり、日本学校俳句研究会理事の白川鼎心氏が受賞句を揮毫くださった色紙(大賞)、きごさい代表の俳人、長谷川櫂氏著の『四季のうた』(中公文庫)、『こども歳時記』(小学館)、開明の墨汁が贈られました。
昨年にひき続き、オンライン(リアルタイム)での表彰式参加者も募ったところ、7名の児童生徒とそのご家族さまからご希望があり、美しい画面のモニターをとおして、賞状を受け取ったり、コメントを返したりする場面も見られ、モニター越しに全体写真に参加するなど、工夫の活かされた式となりました。
今回から、読売新聞社東京本社のご後援をいただけるようになりました。「きごさい全国小中学生俳句大会」の重要性が理解され、子どもたちの感性を磨く場がますます広がっていきますこと、大変有り難く存じます。ご協賛くださっている(株)小学館、開明(株)をはじめ、ご協力くださった清澄庭園、江東区芭蕉記念館等、関係するすべての皆さまが全面的にご支援くださり、おかげさまで会場に集ったすべての方々が潤いのある、豊かな時間をともに味わう表彰式となりました。この場をお借りし深く感謝申し上げます。

5/12(日) ズームできごさい+ 「韓国の四季と生活」

きごさいBASE 投稿日:2024年3月17日 作成者: dvx223272024年5月12日

さまざまなジャンルから講師をお迎えして季節や文化に関わるお話をお聞きする「きごさい+」
今回の講師は、俳人で長きにわたってソウル俳句会を牽引されてきた山口禮子さんです。
どうぞぜひご参加ください。
講演の後、句会もあります。(選者:山口禮子、趙栄順、長谷川櫂)

日 時 : 2024年5月12日(日) 13:30~16:00
演 題 : 韓国の四季と生活 ―ソウル俳句会の俳句から―
講 師 : 山口 禮子 (やまぐち・れいこ)

プロフィール:
1950年、東京都葛飾区生まれ。慶應義塾大学 文学部卒。史学科民族学考古学専。
1991年渡韓、延世大学、梨花大学語学堂にて韓国語、成均館大学大学院にて考古学を習得。1995年4月、ソウル俳句会入会。1996年よりソウルガーデンホテルに勤務。
2006年より2023年までソウル俳句会主宰。現在、同句会顧問。
『歳時記学 第3号』、『半島 山口禮子句集』に収録した「覚書 韓国歳時記」では50余の韓国季語を紹介している。

講師からのひと言
ソウル俳句会は1993年3月、旭化成のソウル駐在員だった故戸津真乎人氏の声掛けで日韓の会員10名ほどの日韓友好の草の根交流をめざす同好会として発足した。師もなく派もなく、ただ地縁だけで結ばれた俳句会ではあるが、31年間の時と5代の主宰を経て、現在はソウルの本部、および帰国者によるなにわ支部、東京支部と合わせて81名を擁し、本部では月2回の定例句会、各支部では不定期に句会を行っている。
臨場感を定法の一つとする俳句。これまでに詠まれた数千、いや数万になろうかという莫大な句に、韓国ならではの風景、生活、季節感の描かれたものを拾ってみることは可能だろう。それらの句を通して、韓国への理解が深められたらと思う。

2024年5月12日(日) 13:30~16:00  (13:15~ Zoom入室開始)
13:30~14:45  講演
14:50~15:20  句会(選句発表)
15:20~16:00  趙栄順(きごさい編集委員)との対談、質疑応答

第13回きごさい全国小中学生俳句大会

きごさいBASE 投稿日:2024年3月1日 作成者: dvx223272024年3月17日


【大賞】
あせいっぱいぼくのからだであそんでる
土佐市立高岡第一小学校 五年 関 隆佑

【学校賞】
土佐市立高岡第一小学校
山口大学教育学部附属光中学校

【奨励賞】
江東区立第二亀戸小学校
大分市立大在小学校

小山正見 選

【特 選】
夏祭りみこし空まで持ち上げる 
静岡学園中学校 三年 宮村 圭
コロナ感染が下火になり、三年ぶりのお祭りが弾けるように各地で行われた。神輿が町をうねり、威勢のよいかけ声が響いた。そこには日常が戻って来た喜びが込められている。

マイルール白線たどる春の道 足立区立島根小学校 五年 杉瀬 葵
学校の登下校、石を蹴り続けて歩いたり、線の上から外れないように歩いたり・・・一人でそんな遊びをしたことがある。自分だけの「マイルール」を決めた遊びなのだ。こどもはすべてを遊びにしてしまう天才だ。

青空を貸し切りにして運動会 江東区立有明小学校 六年 安井彬人
運動会の天候だけは、先生方や保護者の力ではどうにもならない。ところが、当日は素晴らしい秋晴れ。「やった!」と叫びたくなるほどだ。地上では素敵な演技が繰り広げられたに違いない。

【入 選】
花束のようにかかえる稲の束 大分市立大在小学校 五年 白井海翔
咲きたての桜のような十二歳 豊島区立西池袋中学校 三年 石山結華
風船が空に吸われて終戦日 大分市立大在小学校 五年 秦野琥羽
しんしんと雪の音色がふりつもる 京都女子大学附属小学校 三年 下園紗代
あせいっぱいぼくのからだであそんでる 土佐市立高岡第一小学校 五年 関 隆佑
点Pに点Q追加小鳥来る 仙台市立郡山中学校 三年 石川寿々
終戦日影も子どももみな消えた 大分市立大在小学校 五年 松尾彩希
うらがえるセミのちかくをおそるおそる 千代田区立九段中等教育学校 二年 久木元秀至
新米の一つ一つの物語 江東区立扇橋小学校 六年 越島優奈
ぱくぱくときんぎょものいうことがある 土佐市立高岡第一小学校 二年 田中詩乃梨

【佳 作】
あきのはれジャングルジムにぶらさがる 江東区立数矢小学校 一年 横澤吾郎
夕立といっしょに帰る午後三時 江東区立第一亀戸小学校 五年 瀧澤彩妃
まく種は亀戸大根秋日和 江東区立第二亀戸小学校 四年 川﨑佑馬
青森で最初は雪をかく仕事 江東区立浅間竪川小学校 四年 清野太翔
せみとったぼくよりよろこぶおじいちゃん 京都女子大学附属小学校 二年 浮村聡一
夜食とる母の愛情重すぎる 仙台市立郡山中学校 三年 黒田春美
髪洗ふ今日の失敗流れゆく 鹿児島市立坂元中学校 二年 住本愛恵
秋驟雨ノイズ混じりのレスポール 大阪市立都島中学校 三年 甲田莉久
耕せば土を跳び越す雨蛙 お茶の水女子大学附属中学校 三年 由宇弘賢
東照宮博識になる秋うらら 江戸川区立北小岩小学校 六年 吉羽悠人
どんぐりのサイズのちがうぼうしかな 江東区立第二亀戸小学校 四年 戸倉煌希
アンカーは君に任せた赤とんぼ 江東区立数矢小学校 五年 藤本亮馬
るすばんの庭にゆれてる秋ざくら 足立区立西新井小学校 三年 加藤 絢
秋の空まがってにげるおにごっこ 葛飾区立新宿小学校 四年 手嶋琉斗
秋の空十秒まったらかげおくり 葛飾区立新宿小学校 四年 長野璃々

髙田正子 選

【特 選】
いますぐにはしりだしたいとかげかな 世田谷区立桜丘小学校 三年 濱﨑 葵
このとかげは、作者が自分を見ていることを知っているのでしょう。のどのあたりがドキドキと大きく動いています。つかまえようと手を伸ばしてきたら、さっと逃げるからな、と言わんばかりに小さな眼が動きます。とかげの身になって詠み切ったところが楽しい句です。

ドッカーンほえているんだ大花火 土佐市立高岡第一小学校 四年 中平琉輝矢
中止が続いていた花火大会が次々に再開された二〇二三年でした。河原や海辺へ出かけて、本物の打ち上げ花火を見上げた作者でしょう。テレビで観るのとは違ってすごい迫力です。全身でとらえた花火は猛獣のようにほえていました。「ほえる」が光る句です。

満月へ道がつながるはしの上 江東区立川南小学校 六年 伊藤 翔
作者は今どこかの橋を渡ろうとしています。真正面には大きな満月。月の光を受けて橋は白い道のようです。このまままっすぐ渡っていくと月まで行けるかもしれない。そんな気分になったのでしょう。「道がつながる」と言い切ったところがすばらしいです。

【入 選】

キューピーのあたまみたいなミニトマト江東区立豊洲北小学校 二年 村上杏那
春の朝鳥がきれいにしゃべってる江東区立東砂小学校 六年 髙橋想來
夏祭りみこし空まで持ち上げる静岡学園中学校 三年 宮村 圭
天の川空が遠くてつかめない鹿児島市立坂元中学校 三年 子島悠飛
赤いみちたどるように林檎剥く学習院女子中等科 三年 西村理子
ひまわりはアップルパイのかおみたい土佐市立高岡第一小学校 三年 野瀬悠吏
ばあちゃんち跣であるく木の廊下山口大学教育学部附属光中学校 三年 長沼美波
のぼりぼうたかくのぼれたあきのそら江東区立第一亀戸小学校 一年 田中奏多
青空を貸し切りにして運動会江東区立有明小学校 六年 安井彬人
こおろぎは静かになったら鳴いてくる江東区立東砂小学校 五年 川鍋彩羽

【佳 作】
風船が空に吸われて終戦日 大分市立大在小学校 五年 秦野琥羽
ベランダの手すりをはじく春の雨 町田市立南中学校 二年 山口花音
雨つぶは涙みたいにふって来る 南あわじ市立志知小学校 三年 船本紗世
庭先のあじさい一輪雨のにおい 鹿児島市立坂元中学校 一年 小野由莉子
はくちょうがぐんぐんぐんとおよいでる 美濃加茂市立太田小学校 二年 今井蒼音
ばあちゃんにやきいもおいしくやけました 高岡市立伏木小学校 四年 井菜々海
秋探し寂しい顔のすべり台 学習院女子中等科 三年 皆川彩葉
ラムネ瓶滴る水に青い空 枚方市立小倉小学校 五年 山本宇架
青森で最初は雪をかく仕事 江東区立浅間堅川小学校 四年 清野太翔
藍色の額紫陽花と雨の色 山口大学教育学部附属光中学校 三年 梶本心咲
秋日和よそいきのふくなびかせる 江東区立豊洲北小学校 四年 別所和佳奈
こすもすがゆれるわらっているみたい 高岡市立伏木小学校 一年 今井 尊
弟が生意気になる夏休み 大分市立大在小学校 五年 太田美結
校ていに小さな風の九月かな 足立区立中川北小学校 五年 山地光星
カーテンのすきまの光春近し 江東区立豊洲北小学校 四年 満行悠衣

長谷川櫂 選

【特 選】
父がつくる雑煮の味は母の味山口大学教育学部附属光中学校 三年 久保めぐみ
お母さんのいない家族を想像した。雑煮もお父さんが作るのだが、お母さんが作っていた雑煮の味がする。どういう事情かわからないが、複雑な背景を表現している。たまたま、お父さんが雑煮を作っただけかもしれないが、それならそれで、また別の味わいがある。

終戦日影も子どももみな消えた大分市大在小学校 五年 松尾彩希
ウクライナやガザで大人たちが戦争をしている。そして誰よりも犠牲を強いられているのが、子どもたちという現実を前にして、子どもたちが戦争に関心をもつ、戦争という言葉を日常語として使う。それはしかたないことであるよりは、そうあるべきだろう。こんな時代、子どもの世界だけが楽園ではいられない。

あせいっぱいぼくのからだであそんでる土佐市立高岡第一小学校 五年 関 隆佑
身体中の汗の玉を遊んでいるととらえたところ。「ぼくのからだ」を遊び場にして。汗の玉一つ一つが命あるものに見えてくる。

【入 選】

いつもより兄弟でいる夏休み 大分市立大在小学校 五年 篠原奏太
けんかして心の中がうろこ雲 江東区立第二亀戸小学校 四年 中島颯希
鯉幟どこにもいけない受験生 玉城町立玉城中学校 三年 宮本徠翔
座禅して頭の中も雪景色 古河市立総和中学校 三年 小岩大和
何気ない親の一言稲光 玉城町立玉城中学校 三年 木村優峨
恐竜がたんじょうすれば夏がくる 都立立川国際中等教育学校附属小学校 二年 萩野 優
風にのる落ち葉は空のぼうけんか 江東区立第二亀戸小学校 一年 松坂美空
夜食とる母の愛情重すぎる 仙台市立郡山中学校 三年 黒田春美
せんぷうきいくないくなとくびをふる 西宮市立春風小学校 二年 安部穂乃香
び生物見ているつゆのけんびきょう 高岡市立伏木小学校 四年 阿久津結羽

【佳 作】
はざくらのはのかげわいわいおどってる 江東区立平久小学校 三年 松本歩花
大空をいろんな風で泳ぐ鯉 足立区立花畑第一小学校 六年 綱島汰一
口の中湯気ふく焼き芋活火山 江戸川区立南篠崎小学校 四年 柳沢悠斗
どんぐりのサイズがちがうぼうしかな 江東区立第二亀戸小学校 四年 戸倉煌希
夏舞台汗の量だけ変われるか 大阪市立都島中学校 三年 上江洲つばめ
ひがん花花びらおちてもえている 江東区立第一亀戸小学校 二年 三浦永都
サングラス外すと世界光りだす 麗澤中学校 三年  大滝友翔
終わりゆく中三の日々桜かな 浜松市立北部中学校 三年  古𣘺瑞稀
いますぐにはしりだしたいとかげかな 世田谷区立桜丘小学校 三年  濱﨑 葵
戦争だ我が我がと扇風機 玉城町立玉城中学校 三年 藤川廉真
画用紙にくっついているせみのから 江東区立第二亀戸小学校 三年 金指 蓮
夕立といっしょに帰る午後三時 江東区立第一亀戸小学校 五年 瀧澤彩妃
いやなこと全部ふきとぶせんぷうき 江東区立第二亀戸小学校 六年 青山孟生
初日だけ気合が入る夏休み 江東区立平久小学校 六年 西 篤輝
たいやきの少しとまどう一口め 仙台市立郡山中学校 三年 奥山詩音

日本学校俳句研究会が選ぶ二十句

バレンタイン余ったチョコと嘘をつく 山口大学教育学部附属光中学校 三年 山根温花
バレンタインデーに「本命」と言って渡すことができず、「余った」チョコと嘘をついてしまった。照れてくさい気持ちがとても伝わってきます。下の句の「嘘をつく」と表現したところに気持ちが集約されている一句です。

せんせいにあかちゃんできるあきのそら 江東区立豊洲北小学校 一年 太田真帆
大好きな先生に赤ちゃんが生まれると知り、嬉しいけれど、寂しい。秋の空のように晴れ渡っているけれど、同時に切なさを感じる。一言では表せない気持ちと、季語とが響き合っている句です。

夜食とる母の愛情重すぎる 仙台市立郡山中学校 三年 黒田春美
試験勉強をする作者に対して、お母さんが夜食を届けます。母の子を思う愛情と、いつの間にか成長している作者の母を思う微妙な心情との交錯が伝わってきます。

せみとったぼくよりよろこぶおじいちゃん 京都女子大学附属小学校 二年 浮村聡一
作者は祖父に蝉捕りの極意を学んだのでしょう。木に止まっている蝉をうまく捕獲できた喜びは格別なもの。自分より興奮している祖父とそれを見つめる作者。二人の関係がよく伝わってきます。

風船が空に吸われて終戦日 大分市立大在小学校 五年 秦野琥羽
風船は希望・平和な日常・人の命などの象徴でしょう。その風船が「空に吸われる」という表現に、戦争は終わったけれど、戦争によって大切なものをなくした喪失感や虚しさが伝わってきます。

かくれんぼトンボはぼくを見つけてる 徳島文理小学校 四年 中村健汰
かくれんぼをしている時のこと。鬼役の友だちは自分のことをまだ見つけていませんが、トンボとは静かに目が合っています。息をひそめて隠れている様子がよく表現されています。

引っぱるなふとんのとりあい二回戦 江戸川区立北小岩小学校 四年 内田花音
兄妹で布団の取り合いをしているのでしょうか。寒い時期は、布団がより恋しくなります。近くで寝ている家族と、ふとんを取り合う微笑ましい様子が想像できます。

弟が生意気になる夏休み 大分市立大在小学校 五年 太田美結
夏休みになり、弟と過ごす時間が長くなる作者。家で、旅先で、様々な場面で、弟の成長を感じます。「生意気になる」の表現に弟への複雑な気持ちが伝わる一句です。

五月雨弁慶眠る巌かな お茶の水女子大学附属中学校 三年 鈴木文華
修学旅行で平泉の中尊寺に行ったのでしょうか。弁慶の墓の前で歴史に思いを馳せている様子が目に浮かびます。「五月雨」の季語が弁慶を偲んでいるようです。

ばあちゃんち跣であるく木の廊下 山口大学教育学部附属光中学校 三年 長沼美波
おばあちゃんのお家には、昔ながらの木の廊下があるのでしょう。「跣」の足裏の木の感触。少しひんやりとした心地よい感触は、おばあちゃんの思い出と共にずっと心に残ることでしょう。

髪洗ふ今日の失敗流れゆく 鹿児島市立坂元中学校 二年 住本愛恵
「髪洗ふ」は元々夏の季語。かつては特別な行事でもあったそうです。高温多湿の日本では、特に気持ちがさっぱりします。失敗した悔しさや悲しさまでもシャワーで洗い流されていく様子がよく伝わります。

しかたなくおふろにはいるこどもの日 都立立川国際中等教育学校附属小学校 二年 AMGALAN BILIG
不思議な句です。楽しい一日でお風呂に入りたくないのか、菖蒲の香りは苦手だけど伝統だからしかたないのかなど、「しかたなく」の言葉で様々なことを想像させます。

いますぐにはしりだしたいとかげかな 世田谷区立桜丘小学校 三年 濱﨑 葵
このとかげは少し臆病なのか、それともまだ幼いのか。シュッと逃げることはしないけれども、すぐにも逃げたそう。作者は、とかげの様子をじっと見て、今のとかげの気持ちを読み取りました。

砂利道で日焼けしたうで祖母に貸す 江東区立平久小学校 六年 小松原彩
足元の悪い道を、祖母と一緒に歩いている。小さい頃は手を引かれていたのに、今は日に焼けた自分の腕が祖母を支えている。誇らしいような、照れくさいような夏の日のひとコマが見える句です。

蚊の声で夢の続きを逃したり お茶の水女子大学附属中学校 二年 杉本那瑠
もうすこし寝たいけど、蚊の羽音に邪魔されて、起こされてしまいました。折角素敵な夢を見ていたのに、続きを見られなくなってしまった残念な気持ちが素直に表されています。

父がつくる雑煮の味は母の味山 口大学教育学部附属光中学校 三年 久保めぐみ
ご両親仲睦まじく過ごしていた様子が目に浮かびます。父がつくるお雑煮は自然と母の味になっていたのでしょう。特別なお雑煮ですね。家族思いの優しいお父さん。心和む俳句です。

投稿ナビゲーション

← 古い投稿
新しい投稿 →

2026年のはじめに  長谷川櫂

新年明けましておめでとうございます。

 NPO法人「季語と歳時記の会(きごさい)」は2008年の発足から今年で19年目を迎えました。年会誌「歳時記学」は「きごさい」と名称を変更して号を重ね、今年2月発行予定の号で第18号になります。この第18号を会誌の最終号とし、今年からこのサイト「きごさいBASE」に全面移行します。

 新企画「四季のエッセイ」には歌舞伎俳優の松本幸四郎さんに新春を寿ぐ素晴らしいエッセイを寄稿していただきました。また恒例の「日本の暦」も掲載しています。今後はデジタルの特性を生かしてスピィーディー発信してまいります。皆さまの更なる積極的なご協力、ご支援をお願いいたします。

最後に今年も皆さまの一層のご多幸を祈念いたします。(季語と歳時記の会代表)

きごさい歳時記


「日本の暦」2026年版


今夜はご馳走

季節文化を発信

NPO法人「きごさい」(季語と歳時記の会)は、ネット歳時記「きごさい」を中心に季節文化を発信する仕事をしています。その活動はボランティアのみなさんの力で運営されています。賛同される方はご参加ください。

きごさいの仕事

  • ネット歳時記「きごさい歳時記」
  • 山桜100万本植樹計画
  • 「きごさい(電子版)」の発行
  • きごさい全国小中学生俳句大会【募集要項】
    • これまでの受賞句

メニュー

  • top
  • デジタル句集
  • 入会申し込み
  • きごさいのスタッフ
  • 恋の句 今までの受賞句
  • お問合せ
  • 管理

リンク

  • カフェきごさい
  • 日本学校俳句研究会

きごさいの本

「きごさい」第17号購読可
きごさい
1,500円
2025年3月刊行


『大人も読みたい こども歳時記』(10刷)
長谷川櫂監修 季語と歳時記の会編著
小学館
1,600+税
2014年3月刊行


『花のテラスで Ⅱ』
福島光加
花神社
2300+税
2018年4月刊行


『花のテラスで』
福島光加
花神社
1,900+税
2014年9月刊行


「第14回全国小中学生俳句大会作品集」購読可
きごさい
500円
2025年3月刊行


「大震災をよむ」購読可
長谷川櫂選 きごさい
1,000円
2011年5月刊行


購読はお問合せからお申し込みください。振込口座をお知らせいたします。

↑