↓
 

きごさいBASE

NPO法人季語と歳時記の会のホームページ

作成者アーカイブ: dvx22327

投稿ナビゲーション

← 古い投稿
新しい投稿 →

11/20(日) Zoom でHAIKU+、講師は井上康明さん

きごさいBASE 投稿日:2022年11月5日 作成者: dvx223272022年11月7日

「HAIKU+」は、現在ご活躍中の俳人・俳句研究者をお迎えして、「俳句で今何が問題か」という統一テーマで、俳句の未来を考える催しです。
今回の講師は俳人で「郭公」主宰の井上康明(いのうえ・やすあき)さん。

遠方の方も参加しやすいZoomを使ったオンライン講演となります。
Zoomは初めてという方も、パソコン、スマートフォン、タブレットを使用されていれば、比較的簡単に視聴できます。ただし事前に参加申し込みが必要です。詳細は下記の<申込み案内>をご覧ください。

日 時: 2022年11月20日(日) 13:30から

演 題 : 俳句の魅力 ―飯田蛇笏よりー

講 師:  井上康明(いのうえ・やすあき)

<プロフィール>
1952年、山梨県韮崎市生まれ。山梨大学卒。俳誌「郭公」主宰。句集に『四方』『峡谷』。著作に『山梨の文学』(共著)など。県立高校教諭を経て山梨県立文学館に勤務。二十代で俳句を始め飯田龍太、廣瀬直人に師事。「雲母」会員、「白露」同人を経て現在に至る。毎日俳壇、山梨日日新聞俳句欄選者。NHK学園俳句倶楽部講師。各種俳句大会選者。俳句に「ふかふかの手袋が持つ通信簿」など。

<講師よりひと言>
飯田蛇笏の俳句について、その生涯の俳句のなかから作品を紹介し俳句について考えたいと思います。蛇笏は、河東碧梧桐らの新傾向俳句に反対、高浜虚子の句を推奨。唯一の師は虚子だと言い、その姿勢を崩すことはありませんでした。虚子との交流を軸に、芥川龍之介、また、芭蕉及び地元の旧派と言われた俳人への言及など、作品との関係について考えたいと思います。

2022年11月20日(日)
13:15 Zoom入室開始
13:30~15:00 講演
15:00~15:45 木下洋子(きごさい編集委員)との対談、質疑応答

<申込み案内>
1. 参加申し込み受付 11/11まで:  こちらから をクリックして申込みフォームからお申込みください。自動確認メールが届きます。
2. 申込された方には、自動確認メールとは別に、11/15頃までにご案内と講演会当日Zoomに入場するアドレスをメールでお送りします。かならずご確認ください。
3. 参加費:きごさい会員:1,000円  会員外:2,000円 会費の振込先は自動確認メールでお知らせします。

今回はZoomを使ったオンライン講演会です。11/11までに参加申し込みをして、後日メール配信するズーム入室URLなどの案内をご確認いただかないと、当日視聴できません。よろしくお願いいたします。

きごさい+/ 麹菌と麹の秘密!〜日本人の腸は守られてきた!?〜

きごさいBASE 投稿日:2022年10月14日 作成者: dvx223272022年10月14日

9月23日、講師に日本麹クリエイター協会代表の鈴木ひろみさんをお迎えして「きごさい+」が開催されました。健康に美容に今も注目されている発酵食品、中でも日本の国菌「麹菌」、「麹」の持つパワーと魅力に目を見張るお話でした。講師の鈴木ひろみさんに概要をいただきましたのでご覧ください。

麹菌と麹の秘密!〜日本人の腸は守られてきた!?〜

一般社団法人日本麹クリエイター協会 代表理事 鈴木ひろみ

§0.講師自己紹介
§1.麹とは?
§2.日本の調味料
§3.腸内環境と麹の関係
§4.麹の可能性 美肌をつくるお薬いらずの生活
§5.おうち麹・自家製麹とは?

§0.講師自己紹介
1976年6月25日東京生まれ。
IT業界、ジョンソン・エンド・ジョンソン(株)、製薬会社を経て、40歳で起業。
2018年 一般社団法人日本麹クリエイター協会を設立。
2020年 鎌倉に麹Style(カフェ)をオープン。
医療機器メーカー勤務時代は病院で数々の手術に立ち会う。ヒトの身体の仕組みを医者と対等に話せるレベルまで学びを深める。
酒蔵や味噌蔵、種麹屋などで麹づくりを学ぶ。
東京農業大学にて、麹醸造学、麹菌学の単位も取得。

§1.麹とは?
麹とは、蒸した穀類(米、麦など)に麹菌を付け、培養したもの。
麹菌は菌糸を伸ばす際に、生きるために酵素やビタミン群を分泌するが、自身が必要とする以上の量を産生し、穀類に残していく。
麹には、「酵素」や「ビタミン」が豊富という話は有名だが、それは麹菌が生育する際に生み出しているものである。
私たち人間は、麹菌が生み出した「酵素」や「ビタミン」の恩恵を受け、麹と食材をあわせることで、より美味しく、栄養価が高まった食事を撮ることが出来ている。

§2.日本の調味料
日本の伝統的な調味料に、醤油、みりん、味噌、酢、酒などがある。
昔から日本の食文化を支え、日本人の優しくて強い心と身体を作ってきた、これらの伝統的な発酵調味料の原材料となっているものに共通するのが「麹」である。
現代でも、これらを使わない日はないほど、馴染みのある調味料たち。
例えば、醤油は、大豆と炒った小麦に麹菌をまぶして発酵させ、塩と水を加えて一年以上かけて発酵・熟成させたものが伝統的な製法。
しかし、一般的なスーパーやコンビニなどで販売されているこれらの調味料は、より短時間に、大量に、安価に、効率良く生産することを重視された結果、伝統的な製法で作られたものに出会うことは困難となっている。
本来の発酵の過程を経た、本物の発酵調味料が私たちの腸を整えてくれるのである。

§3.腸内環境と麹の関係〜腸とは?〜
腸は、第二の「脳」と言われている。
「腸活」や「腸内環境」が話題となっているように、「腸」は人間にとってとても大切な臓器である。
腸内環境を整えることで、次のようなメリットがたくさんある。

・栄養素をしっかりと吸収できる。
飽食の現代でも、栄養失調の人は多いと言われている。栄養を摂っているつもりでも、栄養を吸収する腸の状態が整っていない場合、栄養をしっかり吸収することが出来ない。
摂取した栄養素をしっかりと身にするためには、腸内環境を整えることが必要である。

・幸せホルモンの「セロトニン」がしっかり分泌される。朝日を浴びることも大切。
私たちが「幸せだな」と穏やかな気持ちを感じられるのは、幸せホルモンと言われる「セロトニン」が分泌されることによる。セロトニンは実は腸で9割が作られているため、腸内環境が大切である。
また、セロトニンの副産物が睡眠ホルモンのメラトニンである。日中、セロトニンがしっかりと分泌されることで、夜、メラトニンが分泌され、良質な睡眠が叶う。
メラトニンからセロトニンの分泌へ切り替えるために、朝日を浴びることが有効とされている。

・免疫力UP
免疫細胞の7割が腸に集結している。腸内環境を整えることで、免疫力の向上が叶う。

・痩せやすい体を作る
腸内環境が整うことで、栄養素が身体に行き渡り、代謝がアップし、痩せやすい体へと導かれる。
また、糖質の代謝にはビタミンBが必要であるが、麹にはビタミンB群が豊富に含まれており糖質の代謝も促される。

・ツヤ素肌を作る
肌は腸の写し鏡とも言われている。
肌トラブルの原因として、腸内環境がある。
腸内環境が乱れ、腸内で発生した有毒ガスや物質が血液に乗り、外へ排出される際に吹き出物等となる。
腸内環境が整っていることで、血液レベルで健やかなツヤ素肌を作ることができる。

・腸内環境が悪くなる理由(悪玉菌優位になる理由)
加齢、ストレス、運動不足、化学調味料・添加物の摂取、抗生物質の服用等がある。
現代の日本においては、これらを全てを完全に排除することは難しいが、これらと上手に付き合い、おうち麹で食のベースを整えることが大切である。

§3.腸内環境と麹の関係〜腸内細菌叢と菌との関係〜
地球の歴史は46億年。
微生物の歴史は38億年。
生物の種類は870万種とも言われており、私たちの腸内細菌は100〜1000兆個。
皮膚等の常在菌は、40〜100兆個。
ヒトの歴史は、
ヒト亜科は500万年。
新人類になってからは20万年。
人間の人生は約100年。

ヒトの歴史は、微生物や腸内細菌叢の菌たちに比べて圧倒的に短く、数も少ない。

§3.腸内環境と麹の関係〜菌と人間の関係〜
人間の体にはたくさんの菌達がそこで生きているが、
私たち自身は、菌たちがいなければ存在できない。
逆に、菌は私たちの体がなくても生きていける。
小さい頃から菌と触れ合い、菌を取り入れることで、私たちは免疫を獲得しているとも言われており、多様な菌と共に共存してきていた。
しかし近年では、必要以上の除菌によって幼い頃から菌と触れ合う機会も減少し、それがアレルギー発症にも影響が出ているとされている。

私たちは、菌に生かされていることを認識し、菌を排除するのではなく、菌と共存していくことを大切にすべきである。

§4.麹の可能性
麹クリエイター資格講座では、歯周病菌に麹菌が有効である可能性がある、という文献の紹介も行っている。
他にも、おうち麹から作る発酵麹化粧水や麹乳液といった美容関係、
また、ご飯だけではなく、麹おやつとしておやつ作りにもおうち麹が活用できる講座やレッスンを行い、麹の可能性を広げ、お伝えしている。
麹自体は、古来より日本人と深い関わりがあるが、麹菌のD N Aなどが解明され始めたのは、つい最近である。
今後も、麹、麹菌の可能性は益々広がっていくことに期待が高まっている。

§5.おうち麹・自家製麹とは?どう取り入れる?
日本麹クリエイター協会の「麹クリエイター」講座は、6種類のおうち麹を自宅のキッチンでつくれるようになる3日間連続の資格講座です。
2022年9月現在、600名以上の「麹クリエイター」が誕生しています。

おうち麹がどういったものか、麹のお料理への活かし方や麹おやつについてを1日集中で学び、習得できる「麹醸人講座」では、持ち運びできる小さな容器での麹づくり体験が叶います。
黄麦麹を仕込む他、18種類の自家製発酵調味料の味見、調味料作り、おうち麹の調味料でつくる洋食メニュー、ヴィーガン仕様のパンケーキやバターを作ることができるようになります。
  

他にも、6種類のおうち麹のお料理やおやつへの活かし方や、仕込みや後片付けも簡単に、美味しく、継続できるおうち麹LIFEを送っていただける「帰宅後10分片付け簡単麹ごはん・麹おやつ」講座では
おうち麹の特性を活かして、お肉料理、お魚料理、パーティーメニューなど多岐にわたる麹ごはん・麹おやつを3日間でお伝えしています。

また、美容に特化した1日集中の「麹pureスキンクリエイター」講座では、麹化粧水、麹乳液、麹洗顔、麹パック、麹クレンジングを手作りできるようになる他、美容の知識もしっかりと学ぶことができます。
おうち麹を内側から、外側から取り入れる相乗効果で、本来の肌の力を活かし、ノーファンデーションが叶っていく受講生が続出しています。
おうち麹の作り方だけではなく、どのように生活に取り入れるか、その具体的な活かし方まで、料理、おやつ、美容等幅広くお伝えをしています。

女性には様々な役割があり、ライフステージによって、悩みや課題は変化しますが、おうち麹・自家製麹は、全ての女性にとっての救世主です。
大学生から、お孫さんがいる方まで、各種講座をご受講くださっております。
最近では、海外に駐在している方や、男性のご受講も増えてきており、日本の伝統である「麹」「麹菌」を次世代へ繋いでいくことのニーズが高まっていると実感しています。

「俳句」と同じく、日本の素晴らしいものに再度目を向け、おうち麹に出会っていただけましたら幸いです。

6種類のおうち麹づくり資格講座、麹ごはん講座、お問い合わせは
一般社団法人日本麹クリエイター協会ホームページ →  https://koji-creator.com/

講演後、句会も開かれました。
句会報告   選者=長谷川櫂、鈴木ひろみ
◆ 長谷川櫂 選
【特選】
返しては麹のこゑを聴く夜長     葛西美津子
灯の下にべつたら漬のなまめかし   葛西美津子
麹菌の花の声きく新酒かな      鬼川こまち
【入選】
発酵と腐敗の大地木の実降る     西川遊歩
ぶつぶつと秋の夜長を麹菌      飛岡光枝
麹菌もほつと一息秋涼し       北側松太
ひは色の花ひらきゐる新麹      金澤道子
天球の端から端まで鰯雲       吉安とも子

◆ 鈴木ひろみ 選
【特選】
いつの世の麹の花か寒造り      長谷川櫂
日に継いで麹花咲く月夜かな     齋藤嘉子
味噌仕込む背の赤子は眠りけり    斉藤真知子
麹のこと麹に聞かん寒仕込み     北側松太
麹菌もほつと一息秋涼し       北側松太
【入選】
大鍋に味噌一樽やきのこ汁      飛岡光枝
べつたらの樽置く参道月照らす    西川遊歩
秋深し国菌といふ宝あり       上田雅子
秋の田の風通り抜け珈琲店      佐藤森恵
劇場を出れば現世の秋の街      谷口正人
甘酒に励まされたる五体かな     三玉一郎
秋澄んで発酵の声響きけり      北側松太
言ひ過ぎをわびる新酒を送りけり   齋藤嘉子
発酵の宇宙に遊ぶ秋一日       上田雅子

8月 きごさい+報告 「祈りや願い 落雁に込めて」

きごさいBASE 投稿日:2022年8月23日 作成者: dvx223272022年8月31日

 8月13日(土)第26回きごさい+がズームで開催されました。講師は、きごさい+ではおなじみの株式会社虎屋・虎屋文庫主席研究員の中山圭子さん。中山さんの講座は今回で6回目、1回から4回は春夏秋冬それぞれの季節の和菓子について、昨年は羊羹のお話、そして今回のテーマは「祈りや願い、落雁に込めて」でした。
講座 レポート 
 私が「落雁」と聞いて思い浮かべるのは、仏事のお供えの菓子や和三盆などの小さい干菓子など。どうして落雁という名前? どこまでを落雁というの? 中山さんの明快で親しみやすい語り口に、落雁の存在と魅力をあらためて認識した。

〇落雁とは、その歴史
落雁は米・麦・大豆・小豆などの粉に砂糖・水飴などを混ぜ、型に詰め、打ち出したもの(和三盆のみのものも広い意味で落雁に含まれる)。干菓子の一種で、押物・打物・はくせんこ・粉菓子など、地域によって呼び名も様々という。
後陽成天皇(在位1586~1611)が献上された落雁を見て「白山の雪より高き菓子の名は四方の千里に落つる雁かな」と詠んだという逸話があるという。白い生地に胡麻を散らした菓子を、白砂に雁が落ちてくる景に見立てるとは、なんて優雅で風流。
その後、元禄年間(1688~1704)には木型に米粉(道明寺)と砂糖を詰めて打ち出す落雁が作られ、天保年間(1830~44)には、紀州徳川家と尾張徳川家との間で落雁の贈答例があるように、木型職人、菓子職人の技術が芸術の域にまで上がり、落雁文化、菓子文化の爛熟期を迎えた。和歌山の名所を表した細密で絵画のような、30㌢×40㌢もの落雁も作られたという。
一方、江戸時代、庶民にも落雁は広まり、贈答や見舞いなどに使われた。時代が下ってからも、式典や行事にふさわしい意匠の落雁が記念品や贈答品として盛んに作られた。驚いたのは戦時中に戦意高揚の落雁が作られたことだ。出征する兵士にはなむけとしても贈られたという。画面には、日章旗や「帝国萬歳」の文字が書かれた弾丸の意匠の木型が映し出された。菓子にまでプロパガンダか、と思ったが、中山さんは、戦場では、落雁をポケットに忍ばせ、飢えをしのいだ人もいたでしょうか、としんみり話された。
戦後、昭和30~40年代に冷蔵庫が普及する前までは、冠婚葬祭の折、魚介などの生ものの代用に落雁を使用することが少なくなかった。引き出物の鯛の落雁などは大きく、また日持ちもするので、家族で少しずつ大事に食べたものだった。
その後は、ライフスタイルや嗜好に合わなくなったのか、大きな落雁は特注以外にほとんど作られなくなり、茶席に使う干菓子のような小さいものが主流となっている。

〇落雁を作る道具、菓子木型
様々な文化が花開いた江戸時代。落雁文化、菓子文化その一つだが、菓子木型の卓越したデザインと木型を彫る職人の技術がそれを支えた。形も意匠(モチーフ)も多種多様で創造性があり、画面で紹介された木型も打ち出された落雁も美術品のようだ。意匠は桜や梅、菊など植物が多いが、動物、名所の風景、能の演目まで、そのデザインと彫りは絵画のようで芸術性が高い。アジアやヨーロッパでも菓子を作るための木型は見られるが、日本ほど多種多様ではないという。
そんなすばらしい日本の木型も、戦時中は燃料として軍に供出したという。お寺の鐘などの供出は聞いたことがあるが、燃料として木型を供出とは愕然とする。木型の価値を知り、大切にしていた菓子屋にとってつらいことだったろう。悲しい歴史だ。
前述のように、昭和後期頃より大ぶりの落雁が次第に作られなくなり、今や木型職人も減って、全国でも数えるほどとのこと。
落雁の存在が薄れてきたことにより、木型のすばらしさ、木型に見る日本の伝統美が忘れられていくのは残念、現代に合った落雁文化の伝承や木型の楽しみ方はないだろうか、と中山さんは情熱をこめて話された。
木型の展示情報も画面で紹介された。さまざまな木型を和紙で写し取った永田哲也氏のオブジェの画像は圧巻だった。ぜひ展示を見に行きたい。
 木型関連展示情報
金沢市…らくがん文庫(諸江屋)・金沢菓子木型美術館(森八)
高松市…香川県伝統工芸士(木型職人) 市原吉博氏のショールーム(要予約) 
東京…永田哲也氏「和菓紙」 アンダーズ 東京(虎ノ門)のエレベーター内
オークションや骨董市に古い木型が出される例も

〇参加者から
 講座の後、全国から、海外ではタイからの参加者も交えトークの時間となり、参加者から落雁の思い出が次々と。「今の洗練された落雁(干菓子)は好きだが、子どもの頃に食べた大きい落雁は苦手だった」「昔は学校の記念行事で紅白の落雁が配られていた」「甘いものに飢えていたからありがたく美味しくいただいた」などなど。苦手だったという人も含め、落雁について皆さん懐かしそうに話される。 
ぼんやりしたイメージしかない落雁だったが、落雁の歴史から木型の芸術性まで、中山さんのわかりやすく熱のこもったお話に充実した時間だった。また、子どもの頃の記憶や、戦争を含めた時代の変遷を思う深いお話でもあった。折しもお盆の最中、77回目の終戦の日を前に、「祈りや願い、落雁に込めて」は参加者の心に強く響いた。
追記:参加者のお一人からメールをいただいた。「中山さんが話されていた岡山の木型職人さんの木型で、友人が香合を作っています。その職人さんに香合を見せたら、もっといろいろな香合を作ってみて、とまた違う木型を渡されたそうです。木型の利用方法が広がって、木型が維持出来れば、と中山さんも仰ってましたね」と。   (葛西美津子記)

〇虎屋文庫とは
昭和48年(1973)に創設された株式会社虎屋の「菓子資料室」。虎屋歴代の古文書や古器物を収蔵するほか、和菓子に関する資料収集、調査研究を行い、展示活動、機関誌『和菓子』の発行(年1回)、ホームページを通じ、和菓子情報を発信している。資料の閲覧機能はないが、お客様からのご質問にはできるだけお応えしている。
書籍:『和菓子を愛した人たち』 山川出版社(2017年)、『ようかん』 新潮社(2019年)

〇菓子関係展示情報
大阪歴史博物館 「和菓子、いとおかし‐大阪と菓子のこれまでと今‐」 ~9月4日(月)
とらや赤坂ギャラリー 「かき氷大百科展」 ~9月25日(日) 
とらや東京ミッドタウン店ギャラリー
 「華麗なる有田 ラグジュアリーの歴史 そして現代展」~8月30日(火)   
  「お米と和菓子」9月2日(金)~2023年1月11日(水)

句会報告   選者=長谷川櫂、中山圭子
◆ 長谷川櫂 選
【特選】
原爆忌鳩のかたちの干菓子かな   金澤道子
菓子こそは平和のあかし八月来   澤田美那子
落雁を手に笑まひけり生身魂    齋藤嘉子
落雁の鶴舞ひ降りて百寿かな    上田雅子
落雁や命すずしく老い賜ふ     飛岡光枝
【入選】
落雁の茄子や瓢や月を待つ     飛岡光枝
電柱に話しかけたき案山子かな   佐藤森恵
落雁や天高く嫁うつくしく     イーブン美奈子
人も国も貧しき頃や麦こがし    上田雅子
さはあれどこの世愛しく夕涼み   イーブン美奈子
麨もなつかしからん苧殻箸     澤田美那子
初秋の風のいろなる干菓子かな   金澤道子
新涼や鯛の落雁ざらざらす     宮本みさ子
落雁の大鯛秋を撥ね上げて     上村幸三
落雁のからくれなゐや生身魂    飛岡光枝
にぎやかに落雁添へん盆の棚    齋藤嘉子
子がまねて練るはつたいや夏休み  葛西美津子
遊びけりはつたい粉飴ポケットに  齋藤嘉子

◆ 中山圭子 選
【特選】
余るほどの余生にあらず麦こがし  上村幸三
蜻蛉にけふ新しき風の道      藤原智子
露草のしぼむに惜しき青さかな   田中益美
落雁の鶴舞ひ降りて百寿かな    上田雅子
落つ雁の見立ての菓子や盆供へ   喜田りえこ
【入選】
原爆忌鳩のかたちの干菓子かな   金澤道子
花園の如く落雁盂蘭盆会      澤田美那子
山峡の闇艶めくや虫送り      曽根崇
落雁や口中に秋くづれゆく     上村幸三
落雁を懐紙にふたつ秋日和     斉藤真知子
八月や残りわづかの砂時計     佐藤森恵
麦こがし茶わんも噎せてゐるやうな 葛西美津子
落雁のやさしき甘さ夏負けて    金澤道子
祝ひ唄自慢の祖母や麦こがし    長谷川冬虹

第17回恋の俳句大賞(2022年前期)は三玉一郎さん

きごさいBASE 投稿日:2022年8月9日 作成者: dvx223272022年8月27日

【大賞】
花林檎遠くまで来し二人かな       三玉一郎
 「遠く」とは距離の遠さだけでなく、時間であったり、精神の成熟をも言い表している。それでいて「花林檎」は今この瞬間も初々しい。(村松二本)

☆趙栄順 選
【特選】
口笛で答える君へ風光る         伊達紫檀
ハイキングだろうか。彼を呼ぶと口笛で応える。若々しい恋の句。

スイートピー抱くように抱くきみのこと  澤田紫
 柔らかく大切なものはそっと抱く。スイートピーの花束のように。

あなたへとフランス窓を開けて初夏    十音
  両開きのフランス窓を開ける。初夏の明るい陽光とあなたの心を受け止める。

ギヤマンの氷カランと恋終わる      戸村友美
 恋の終わりは氷がカランと鳴るように。虚しさと寂しさ、そして諦め。

春風や吾をさらひてくれまいか      鹿沼湖
 河野裕子は「がさりと落ち葉抱くように」さらって欲しいと歌った。 この句、さらうのは春風。

【入選】
ハンモック君を丸ごと捕まへん      武田百合
還暦の妻投げキッス山笑う        北薗敬
ケチャップで描いたハート聖五月     野井さくら
秋桜の揺れるくちづけ突然に       川合一美
花林檎遠くまで来し二人かな       三玉一郎

☆長谷川櫂 選
【特選】
目の前のあなたが遠き浴衣かな      三玉一郎
 そばにいるのに遠い。
 だからこそもっと近くにいたい。
 恋のやるせない思いを詠む。

【入選】
スマホに君出ぬ日あてどなき草矢     山下守
恋を知り孤独覚えて夏終わる       矢作輝
あのひとは来ない金魚はぶあいそう    げばげば
ハンモック君を丸ごと捕まへん      武田百合
どこに行く?どこへでも二個のヘルメット 小池ひろみ
君のことまだ許せずに夏終わる      五十嵐裕治
夏シヤツの濡れて意外な筋肉質      田中目八
ケアマネに焦がれる母や更衣       辻雅宏
逢へぬ日の祭の中を通り抜く       山田蹴人
切なさや叶わぬ恋の蕾たち        千葉文智
夕立や君の心に掛ける傘         高井はなみ
恋といふ熱帯夜のど真ん中かな      高井はなみ
君去ったあの夏のオレ殴りたい      高津佳子
絶景や君に見とれる夏期講座       野井さくら

☆村松二本 選
【特選】
春愁で片づけられる恋ならば       澤田紫
 下五を「恋ならば」と言い留める呼吸が、どこか王朝の恋の歌と通い合う。

花林檎遠くまで来し二人かな       三玉一郎

【入選】
夭折の君の思ひ出みな涼し        相川正敏
夏シヤツの濡れて意外な筋肉質      田中目八
告白もせで桜蕊降る中を         永井和子
落花浴びたき耳朶の熱さかな       山田蹴人
新緑やあなたと眠る墓は此処       城内幸江
君がいたあのガラス玉のような夏     森田直樹

9/23(金) ズームできごさい+ 日本の「国菌」麹菌のお話

きごさいBASE 投稿日:2022年8月8日 作成者: dvx223272022年9月24日

さまざまなジャンルから講師をお迎えして季節や文化に関わるお話をお聞きする「きごさい+」。
今回の講師は、日本麹クリエイター協会代表の鈴木ひろみさん。
健康に美容に、近年特に注目されている発酵食品。中でも古くから日本の食品、調味料に使われてきた「麹」「麹菌」についてのお話、たいへん興味深いですね。ぜひご参加ください。
講演の後、句会もあります。(選者:鈴木ひろみ、長谷川櫂)

演 題 : 日本の「国菌」麹菌のお話
講 師 : 鈴木 ひろみ(すずき・ひろみ)

プロフィール:
一般社団法人日本麹クリエイター協会 代表理事
麹 Style 株式会社 代表取締役
1976年 東京都生まれ 三姉妹の母
東京農業大学麹菌学・麹造醸学単位取得
自家製麹や麹の活用法について学ぶ資格講座を開設。
現在、麹クリエイター資格保持者は600名を超え、麹マスター資格保持者は250名を超える。
麹クリエイター・麹マスター両資格保持者のオリジナル1dayLesson をプロデュースし、講師デビューを現実のものとし、女性の新しい働き方を構築している。

講師からのひと言
夏の季語にもなっている「甘酒」。甘酒の原材料となっているのが「麹」です。
麹は、蒸した穀類に「麹菌」をまぶし、菌を繁殖させたもので、麹菌は日本の「国菌」。
麹も麹菌も、古くから日本の調味料作りや酒造りになくてはならないものでした。
日本麹クリエイター協会では、日本唯一、6 種類もの麹を自宅で手作りできる「麹クリエイター」を育成。日々の料理・健康面でのお悩みの解決、「麹」の継承活動を行っております。
麹・麹菌を身近に感じていただければ幸いです。

日 時:2022年9月23日(金・祭)13:30~16:00  (13:15~ Zoom入室開始)
13:30~14:45  講演
14:50~15:20  句会(選句発表)
15:20~16:00  長谷川櫂(きごさい代表)との対談、質疑応答
<申込み案内>
1. 参加申し込み 9/14(水)まで: 
2. 参加費:きごさい会員:1,000円  会員外:2,000円 会費の振込先は自動確認メールでお知らせします。
3.ズームのURL、句会の入力フォームのURLは、申込みと入金された方に9/18頃までにメールで配信致します。かならずご確認ください。
4.句会:当期雑詠5句 前日投句です。 選者:鈴木ひろみ、長谷川櫂
前日9/22(木) 17時までに所定のフォームから投句。ただし句会の参加は自由です。
ズームを使ったオンライン講演会です。9/14(水)までに参加申し込みをして、9/18頃メールで配信するズーム入室URLなどの案内をご確認いただかないと、当日視聴できません。よろしくお願いいたします。

8/13(土) ズームできごさい+ 「祈りや願い、落雁に込めて」

きごさいBASE 投稿日:2022年6月2日 作成者: dvx223272022年8月5日

さまざまなジャンルから講師をお迎えして季節や文化に関わるお話をお聞きする「きごさい+」。
今回の講師は、きごさい+ではおなじみの虎屋文庫の中山圭子さん。

会場で開催の時は虎屋さんのご協力でお菓子付きの講座でしたが、今回もZoomを使ったオンライン開催のため残念ながらお菓子は配れません。講師の中山さんから「全国各地にさまざまな落雁がありますので、ぜひこの機会に傍らに落雁とお茶をご用意いただき、味わいながら、ご参加ださい。」とコメントをいただいております。講演の後、句会もあります。(選者:中山圭子、長谷川櫂)

演 題 : 祈りや願い、落雁に込めて
講 師 : 中山 圭子(なかやま・けいこ)

プロフィール:
東京藝術大学美術学部芸術学科卒業。四季折々の和菓子のデザインの面白さにひかれて、卒論に「和菓子の意匠」を選ぶ。
現在、和菓子製造販売の株式会社虎屋の資料室、虎屋文庫の主席研究員。
著作に「事典 和菓子の世界 増補改訂版」(岩波書店)、「江戸時代の和菓子デザイン」(ポプラ社)、「和菓子のほん」(福音館書店)など。

講師のひと言
落雁とは、米粉などに砂糖を加えた生地を木型に詰め、打ち出した干菓子のことで、押物、打菓子、粉菓子とも呼ばれます。お盆やお彼岸のお供え菓子のイメージが強いかもしれませんが、かつては招福除災にちなむ様々な意匠の落雁が、慶弔の贈り物に使われました。今回は、人々の暮らしとともにあった落雁の魅力についてお話したいと思います。

日 時:2022年8月13日(土)13:30~16:00  (13:15~ Zoom入室開始)
13:30~14:45  講演
14:50~15:20  句会(選句発表)
15:20~16:00  長谷川櫂(きごさい代表)との対談、質疑応答
<申込み案内>
1. 参加申し込み 8/3(水)まで: 
2. 参加費:きごさい会員:1,000円  会員外:2,000円 会費の振込先は自動確認メールでお知らせします。
3.ズームのURL、句会の入力フォームのURLは、申込みと入金された方に8/8までにメールで配信致します。かならずご確認ください。
4.句会:当期雑詠5句 前日投句です。 選者:中山圭子、長谷川櫂
前日8/12(金) 17時までに所定のフォームから投句。ただし句会の参加は自由です。
ズームを使ったオンライン講演会です。8/3(水)までに参加申し込みをして、8/8頃メールで配信するズーム入室URLなどの案内をご確認いただかないと、当日視聴できません。よろしくお願いいたします。
注意:当日、講演の録画や画像の複写はなさらないようご注意ください。

きごさい+ / 「気候の危機と俳句の危機」概要

きごさいBASE 投稿日:2022年5月20日 作成者: dvx223272022年5月20日

5月4日、講師に環境社会学者で俳人の長谷川公一さん(俳号:冬虹)をお迎えして「きごさい+」が開催されました。気候危機、いわゆる地球温暖化のメカニズム、その影響の深刻さなど、わかりやすく解説していただきました。そして、今から自分たちができること、を考える充実したご講演でした。長谷川公一さんより概要をいただきましたのでご覧ください。

気候の危機と俳句の危機
尚絅学院大学大学院特任教授
長谷川公一

「気候危機」という転換点
長期化するコロナ禍に加えて、ロシアによるウクライナ侵攻という衝撃的な出来事が続いています。私たちが大きな分岐点・転換点に立っているのは確実ですが、問題は、人類がどこに向かっているのか、現代がどういう分岐点・転換点なのか、ということです。
ベルリンの壁が崩壊し、ヨーロッパで「冷戦」が終焉した1990年代には、来るべき21世紀に対して楽観的な見方が多かったですが、2010年代・2020年代と分断と亀裂が深刻化しています。「冷戦の終焉」は幻想だったのでしょうか。
現在、世界全体が直面している危機の一つは「気候危機」です。長い間「地球温暖化」という言葉が使われてきましたが、影響は温暖化にとどまりません。干ばつや豪雨、竜巻など、異常気象の頻発・日常化が顕著です。すでに気候の危機が顕在化している、対策が急務であることを強調して、2019年頃から海外では「気候危機」という言葉がよく使われるようになってきました。

気候危機と俳句の未来
気候危機と俳句の未来とは一見無関係のようですが、気候の危機は、季語の存立や季語の持つリアリティを危うくしかねません。刊行されはじめた『新版角川俳句大歳時記』全5巻は、「季語の本意」の歴史的な変遷を教えてくれますが、気候の危機には、季語の持ちうる実感や手触りを徐々に毀損していく危険性があります。
気候危機対策がうまく行かなかった場合には、2100年までに、産業革命前と比較して、平均気温が4.8℃上昇すると予測されています。その場合には日本でも、最高気温が35℃以上の猛暑日が年間で60日以上にも達する、年間1.5万人を超える熱中症による死者、豪雨の激化、台風の巨大化などが予想されています(https://ondankataisaku.env.go.jp/coolchoice/2100weather/(”2100+天気予報“で検索してください))。
桜が3月30日頃に全国でほぼ一斉に開花するようになり、「桜前線」という言葉が死語になり、九州南部では冬の寒さが不足するために、桜が開花しなかったり、満開にならないことも想定されています。
大豆が世界的に品薄になり、高級食材になるとも予測されています。2050年代以降は、節分に「豆撒き」ができなくなるだろうと見られています。稲作の中心は北海道に移行しますが、北海道でも高温障害によって米の品質が悪化し、米は輸入食品になる危険性も指摘されています。
「田起し」「田植え」「青田」「稲刈り」「今年米」など、俳句の根幹にかかわる稲作文化が、九州や四国・本州のかなりの部分では、昔語りになってしまう怖れがあるのです。
私は「果樹王国」山形県の出身ですが、2060年代には、山形県の庄内地方や北陸地方の沿岸部も温州ミカンの栽培適地になると予測されています。山形県では2010年からかんきつ類の試験栽培を始めています。北限のみかんやすだちなどが既に試験栽培で収穫されています。2060年代には鹿児島県や熊本県・愛媛県・高知県・和歌山県・静岡県など現在の温州ミカンの栽培適地は、高温障害で温州ミカンの栽培には適さなくなると懸念されています。夏ミカンなどへの転換が必要になるそうです。
現在は山形特産ですが、サクランボの栽培適地も北海道に移行する可能性があります。
ミカンやリンゴが色づきにくくなる、病害虫の発生など、気候危機の影響は既に顕在化しつつあります。
櫂先生は、「季語はみな時とともに移ろうものを惜しむ言葉であり、歳時記はその集積である」と指摘しておられます(長谷川櫂『俳句的生活』中公新書、2004年、p.109)。四季の移ろいこそが日本人の美意識を育み、短歌や俳句など短詩形文学の土壌になってきましたが、やがては4月中旬から9月末頃まで、半年近くにわたって夏が居座るようになり、春秋冬は短くなると予測されています。
季節の移ろいという感覚が希薄化することは、俳句にとっては一種の「死刑宣告」のようなものかも知れません。

1.5℃未満に抑えられるか————日本政府の消極姿勢
地球全体の平均気温を産業革命前と比較して、1.5℃未満に抑えられるかどうかがカギになると科学的に警告されています。既に約1.0℃上昇していますので、あと0.5℃の上昇にとどめなければなりません。そのためにも、早期の効果的な気候危機対策と、2050年以降、二酸化炭素など温室効果ガスの排出量と吸収量を差し引きゼロに抑えられるかが世界的な課題になっています。
肝心の気候危機対策は、ドイツをはじめEU諸国は積極的ですが、日本政府は消極的です。温室効果ガスの8割以上は、発電所などのエネルギー由来です。気候危機はエネルギー政策と表裏一体です。
日本政府の対応は、技術革新への期待が中心で、政策的に誘導しようとする姿勢に乏しいものです。経団連の「自主行動計画」、各業界の自主的な取り組みに委ねて、積極的に規制しようとする姿勢が弱いのです。気候危機対策も、エネルギー政策も、大胆な政策転換が不得手です。気候危機対策は「票にならない」こともあって、政治家の関心も低いのです。環境問題に関しては、農林族や文教族のような「族議員」も不在です。
もっとも効果的な政策は炭素税のように、炭素に価格を付けることですが、懸案となりながらも、本格的な炭素税の導入は、遅々として進みません。
ドイツやオランダなどでは会員数が20〜30万人の環境NGOが幾つもありますが、日本には会員数が1万人を超える環境NGOはほとんどありません。財政基盤も弱いために、環境NGOの政治的影響力も乏しいのです。韓国や台湾に比べても薄弱です。

未来は持続可能か
フランスの国旗三色旗は、青が自由を、白が平等を、赤が博愛を現わしています。自由・平等・博愛は、フランス革命以来の近代社会の理念を示していますが、現在中心、現世代中心の価値観です。最近SDGs(持続可能な開発目標)が浸透しつつありますが、持続可能性は、未来に生き残れるのかを問いかける新しい理念です。
お子さんやお孫さん、まだ見ぬ命の未来にも思いをはせましょう。
今年2022年生まれの赤ん坊は、2030年に8歳、50年に28歳、70年に48歳、80年に58歳、2100年に78歳を迎えます。1945年から本年までが77年。78年後もたちまちやってくるはずです。そのときどういう地球になっているのか、日本になっているのか、が問われています。2022年5月4日という現在は、2100年に向かう明日に続いています。

「俳句的生活」の原点
政府や大企業の責任が大きいですが、私たち市民ひとりひとりが出来ることもたくさんあります。
お薦めは地産地消です。筍や空豆をはじめ、地元産の旬のものを食べることは、輸送などにかかわるエネルギーを節約することにもなり、地域の農業を励ますことにもなり、将来世代のためでもあり、いい句材にもなります。一石三鳥・四鳥の効果があります。
公共交通機関の利用を心がけるとともに、一駅分歩くとか、バス停幾つ分かを歩くことは、健康にも財布にもやさしく、地球にもやさしく、句作のヒントにもなります。
安物買いをせずに、いいものを長く使おうとすることも、ごみを減らすことにつながり、気候危機対策になります。
全身をアンテナにして、五感を研ぎすまし、季節の移ろいに敏感になって、つつましやかで、たしなみのある生活を心がけることは、ささやかではあっても、地球にやさしい暮らし方であり、「俳句的生活」の原点とも言えるのです。

ご講演後、句会も開かれました。
句会報告   選者=長谷川櫂、長谷川公一(冬虹)
◆ 長谷川櫂 選
【特選】
ラ・フランス冷たき空に花開く     飛岡光枝
八十八夜はやも藤だな茫々と      ももたなおよ
けふ八十八夜止まざる砲撃よ      ももたなおよ
【入選】
この星に戦場いくつ春ゆけり      斉藤真知子
だんだんゆがむこの星に芹を摘む    イーブン美奈子
砲弾が幾万の薔薇砕きゆく       趙栄順

◆ 長谷川公一(冬虹)選
【特選】
田植機にどこか似てゐる戦車かな    齋藤嘉子
きらきらと赤子の尿や柏餅       齋藤嘉子
ととのはぬ国の形や蟇         斉藤真知子
好戦と厭戦を挟む昭和の日       喜田りえこ
口紐を切つてやりたや鯉幟       上俊一
【入選】
よく生きてよき虫たりぬ青菜かな    上村幸三
この星に戦場いくつ春ゆけり      斉藤真知子
花虻を真似てつつじの蜜吸はん     金澤道子
法華経の金字と銀字若葉寒       村山恭子
この年の残雪ゆたか田植かな      高橋慧
滴りやここにはじまる最上川      長谷川櫂
青空をゆすつてゐたり今年竹      葛西美津子
千年後越後の国に田植かな       斉藤真知子
人類は悪しき生きもの卯波かな     上村幸三
まかなひの昼をつげたる田植かな    田中益美

『大人も読みたい こども歳時記』、高知県の高校入試問題に引用されました。

きごさいBASE 投稿日:2022年5月10日 作成者: dvx223272022年5月10日

新聞に掲載された高校入試問題です。(2022年3月4日の高知新聞より)

小山正見さんの句集『大花野』、東京新聞に紹介されました。

きごさいBASE 投稿日:2022年4月20日 作成者: dvx223272022年4月21日

 日本学校俳句研究会代表で、きごさい全国小中学生俳句大会の実行委員長を務める小山正見さん(74)が句集『大花野』(朔出版、1650円)を上梓した。認知症の妻(74)との十年間の生活の中で詠んだ三十六句を収めている。東京新聞(4月14日付朝刊)記事に取り上げられた。
小山さんが妻の異変に気づいたのは2012年秋。東京新聞記事によれば、小山さんが妻に頼まれた買い物をして帰宅すると、「頼んでないわよ」と言われたという。その後も気になる言動が続いた末、脳が委縮するアルツハイマー型認知症と診断された。
大学時代から交際を始めて結婚したという夫婦。介護の苦労も多かったが、持ち前の明るさとバイタリティーで愛する妻に献身的に接してきた様子がそれぞれの句から伝わってくる。(藤英樹)

荒梅雨の花に水やる君と居て
「あなたのは」とばかり訊く妻さくらんぼ
徘徊に誘ふ秋の螢かな
ここはどこあなたはだあれ大花野
家に居て帰るてふ妻秋彼岸
長き夜や妻の寝息を確かむる
憚らず肩を抱きし冬の道
冬至風呂パンツもブラも新調し
二人して枯れた緑を見てをりぬ
春満月道なき道を照らしをり

きごさい第14号 特集 コロナと俳句

きごさいBASE 投稿日:2022年3月31日 作成者: dvx223272022年4月8日


 購読を希望される方は、右サイドのお問い合せからお申し込みください。一冊1500円(送料込み)になります。きごさいの正会員には4月10日までにお届けいたします。

衰退する結社–藤 英樹
さんぽ歳時記–きごさい編集部

連載 加藤楸邨×大岡信 対談②
第一句集『寒雷』出発点とその背景構成–解説 西川遊歩

連載 末期的大衆社会をどう乗り越えるか③
大衆社会と俳句–木下洋子

HAIKU十(今何が問題か)
近代俳句の超克 「切れ」再考–五島高資

きごさい十(講座十句会)
俳句とアジアモンスーン気候、そして日本の風土–安成哲三
古の風に舞う着物–森岡正博
羊莫の不思議–中山圭子

植物季語の科学的見解 七–藤吉正明

投稿ナビゲーション

← 古い投稿
新しい投稿 →

今夜はご馳走 六月:海老のチリソース煮


 日本人にとって最も馴染みのある中華料理といえば青椒肉絲、回鍋肉そしてエビチリの三つだろう。中でもちょっとご馳走度が上がるエビチリは、朱い海老という見た目の華やかさのせいかもしれない。中華料理には円卓がつきもの。日本も昔はちゃぶ台が家庭の象徴だった。アーサー王の円卓の騎士からG7まで、誰もが平等に参加する雰囲気を作り出すのは、国際政治から家庭まで、人間の社会性の一つの表現かもしれない。

円卓の海老チリ回す三世代 越智淳子


  • これまでの「今夜はご馳走」  越智淳子
  • これまでの「今月のお菓子」  越智淳子
  • これまでの「今月の和菓子」 葛西美津子

きごさい歳時記へ

季節文化を発信

NPO法人「きごさい」(季語と歳時記の会)は、ネット歳時記「きごさい」を中心に季節文化を発信する仕事をしています。その活動はボランティアのみなさんの力で運営されています。賛同される方はご参加ください。

きごさいの仕事

  • ネット歳時記「きごさい歳時記」
  • 山桜100万本植樹計画
  • 「きごさい(旧歳時記学)」の発行
  • 講座+句会「きごさい+」【次回のご案内】
  • HAIKU+今何が問題か【次回のご案内】 
  • きごさい全国小中学生俳句大会【募集要項】
    • これまでの受賞句
  • 恋の俳句大賞【投句する】
    • これまでの受賞句

メニュー

  • top
  • デジタル句集
  • 入会申し込み
  • きごさいのスタッフ
  • お問合せ
  • 管理

リンク

  • きごさい歳時記
  • カフェきごさい
  • 日本学校俳句研究会

きごさいの本

「きごさい」第15号購読可
きごさい
1,500円
2023年3月刊行


『大人も読みたい こども歳時記』(10刷)
長谷川櫂監修 季語と歳時記の会編著
小学館
1,600+税
2014年3月刊行


『花のテラスで Ⅱ』
福島光加
花神社
2300+税
2018年4月刊行

「きごさい」第14号購読可
きごさい
1,500円
2022年3月刊行


『花のテラスで』
福島光加
花神社
1,900+税
2014年9月刊行


「第10回全国小中学生俳句大会作品集」購読可
きごさい
500円
2021年3月刊行


「大震災をよむ」購読可
長谷川櫂選 きごさい
1,000円
2011年5月刊行


購読はお問合せからお申し込みください。振込口座をお知らせいたします。

↑